新たに開発したRTGG (Reactive Templated Grain Growth) 法により,世界で初めて単純ペロブスカイト型化合物の配向セラミックス化に成功した。RTGG法は,異方形状単結晶粉末をテンプレートとして用い,これと反応してテンプレートと格子整合性のある目的物質を合成する補完原料と共に混合して配向成形し,熱処理により固相反応に続いて配向粒成長を生じさせる手法である。板状Bi4Ti3O12
(BiT) 粉末を反応性テンプレートとして用いて作製した圧電性配向Bi0.5(Na,K)0.5TiO3
(BNKT) セラミックスは,同じ組成の無配向焼結体よりも,30-40%高い電気機械結合係数
(Kp) ,50-60%高い圧電定数 (d31,
g31) を示した。また,誘電損失は20-40%低減された。この手法は,Bi層状構造強誘電体の配向化や酸化物熱電材料の配向化にも適用が可能な組織制御技術であり,材料の高機能化への貢献が期待できる。