一層の高生産性を実現するために,生産工程を設計する時点で量産時の生産要件を考慮できるシステムの開発が望まれている。今回,熱間鍛造型の摩耗寿命を対象にして,金型寿命を予測する機能を組み込んだ工程設計システムを開発した。本システムを開発するにあたり,熱間鍛造金型における損傷形態について経時的に調査した結果,金型の寿命をもたらす変形や摩耗損傷の発生と進行は熱負荷による金型の軟化挙動と密接な関係があることがわかった。本システムの骨格は熱連成変形解析と温度解析,金型の軟化解析,および損傷マップによる寿命判定とからなる。損傷マップは寿命時の損傷形態とCAEで求めた物理量を関連づけるために考案したもので,摩擦の厳しさを表す物理量と金型の繰返し加工に伴う強度低下を表す物理量の両軸からなる。金型の強度低下を表す指標として焼戻し軟化後の高温せん断強さと摩擦せん断力との比である降伏強度比を考案した。また本システムは軟化解析を行うための金型材料の焼戻しや高温変形抵抗のデータベースを備えている。本システムは金型寿命をふまえた工程設計に活用できる。