44巻2号 (2013.6)
特集
パワートレーン・環境
Part Ⅰ.特集
特集概要
レビュー
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2. Molecular Dynamics Analysis of Elastohydrodynamic Lubrication Oil Film
弾性流体潤滑油膜の分子動力学解析(715kB)pages 1-10
鷲津仁志、三田修三、大森俊英
本論文では弾性流体潤滑下の炭化水素系フルードのトラクション特性に関する最近の分子動力学による研究を概観する。油膜厚さ、せん断率、圧力などの基本的な特性を調べた上で、分子構造の異なるフルードにおけるトラクション発現機構が、分子内・分子間相互作用に着目した解析により明らかとなった。
【日本語関連論文】
・鷲津仁志, 他, "EHL油膜のトラクション特性",フルードパワーシステム,Vol. 38, No. 5 (2007), pp. 253-257.
・鷲津仁志, 他, "分子動力学を用いたトラクション特性解析",トライボロジスト,Vol. 52, No. 3 (2007), pp. 180-185.
・鷲津仁志, 他, "分子動力学法によるフルードのトラクション特性解析(第1報) -適正計算条件の選定-",トライボロジスト,Vol. 51, No. 12 (2006), pp. 885-891.
・鷲津仁志, 他, "分子動力学法によるフルードのトラクション特性解析(第2報) -分子内・分子間相互作用に着目したトラクション発現機構解析",トライボロジスト,Vol. 51, No. 12 (2006), pp. 892-899. -
3. Air Quality and Vehicle Exhaust Impact
大気環境と自動車排気影響 (3,601kB)pages 11-23
箕浦宏明
自動車排ガスが大気に与える影響を粒子核生成の観点から調査した。超微小粒子は、交通環境により数や粒径が異なるが、光化学反応を介しても自然生成するため、時刻や場所により異なる挙動を示す。排出源による粒子生成速度の違いを示すとともに、炭素同位体分析を用いた寄与の推定を実施した。
論 文
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pages 25-41
稲垣和久、水田準一、冬頭孝之、橋詰剛、伊藤弘和、葛山裕史、河合謹、河野正顕
新しいクリーンなディーゼル燃焼コンセプトを提案し、エンジン試験によってエミッション、燃費に対してその優れた性能を実証した。燃費、フルトルク、冷間性能を犠牲にすることなく、NEDCにて、NOxエミッションは従来に比べて1/4以下になり、ユーロ6規制値の半分以下を達成した。
【日本語関連論文】
・稲垣和久, 他, "高分散噴霧と筒内低流動を利用した低エミッンョン・高効率ディーゼル燃焼 -燃焼コンセプトの提案と単筒エンジンによる基本性能の検証-",自動車技術会論文集,Vol. 42, No. 1 (2011), pp. 219-224.
・橋詰剛, 他, "高分散噴霧と筒内低流動を利用した低エミッション・高効率ディーゼル燃焼(第2報) -多気筒エンジンによる排気性能実証-",自動車技術会論文集,Vol. 42, No. 2 (2011), pp. 439-444. -
pages 43-53
冬頭孝之、服部義昭、藤川武敏、秋濱一弘
高速・高負荷まで運転可能で、かつエンジン燃焼室内を広範囲で観察できる可視化エンジンを新たに完成させた。この新型可視化エンジンを用い、高速回転時のガソリン火炎伝播の観察、マルチ噴射ディーゼル燃焼のCO-LIF可視化を行った解析事例を紹介する。
【日本語関連論文】
・冬頭孝之, 他, "ディーゼル燃焼のCO排出要因解析 -2光子励起LIFによる筒内CO可視化-",自動車技術会論文集,Vol. 43, No. 2 (2012), pp. 449-454.
・冬頭孝之, 他, "ディーゼル燃焼のCO排出要因解析(第2報) -数値計算の検証とCO排出要因解析-",自動車技術会論文集,Vol. 42, No. 6 (2011), pp. 1201-1207.
Part II.ハイライト論文
論 文
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pages 55-59
松井崇行、三浦篤志、井上大介、野村壮史、藤川久喜
ナノホールを有する金属/誘電体積層構造は特異な透過現象を示す。透過には面方向に伝搬する表面プラズモンが関与しており、透過特性はナノホールの周期と形状により制御可能である。本報告では同構造に関する我々の最近の取り組みと光学素子への応用について紹介する。
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pages 61-68
長廻尚之、旭良司、Jürgen Hafner
ゴムメタルの近似構造であるG1型Ti3Nbの引張り、および、せん断の理想強度を第一原理計算によって予測した。せん断理想強度は1.45-1.65 GPaと予測され、ゴムメタルのナノピラーによる実験での強度の実測値(1.7 GPa)とも近い値を示した。すなわち、ゴムメタルは理想強度に近い強度で変形をしているということが理論的に確認できた。