44巻4号 (2013.12)
特集
非破壊検査・評価技術
Part Ⅰ.特集
特集概要
論文
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pages 1-8
村瀬守正、北山綱次、小倉夏樹、林高弘
本論文では、パルスレーザーと複数の超音波センサを用いる新しい非浸水損傷画像化技術について述べる。本研究では、アルミニウム板の裏面にあるノッチ状の損傷を認識できる鮮明な画像が得られた。さらに、受信センサとして高感度空中超音波センサを用いることで、非接触での損傷画像化の可能性が得られた。
【日本語関連論文】
・林高弘 他, "ガイド波を利用した薄板構造内の損傷画像化", 非破壊検査, Vol. 61, No. 2 (2012), pp. 69-73.
・林高弘 他, "レーザー発振超音波走査法を用いた完全非接触による高速損傷画像化", 第19回超音波による非破壊評価シンポジウム講演論文集 (2012), pp. 87-92. -
pages 9-15
佐藤康元、川口直美、小倉夏樹、北山綱次、大橋明、小田切義博
複雑な表面性状を有する粒界型応力腐食割れを誘導型電位差法により計測した。割れの存在による急激な電位差変化点を繋げたラインが電位差の2次元分布上に観測された。このラインの形状が、割れ形状と良好に一致し、誘導型電位差法により応力腐食割れの可視化が可能であることが分かった。
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4. Moiré Deflectometry for Measuring Specular Surface Shapes
モアレデフレクトメトリに基づく鏡面形状計測(4,801kB)pages 17-25
廣瀬知弘
本報では、鏡面形状を計測するためのモアレデフレクトメトリについて報告する。格子によって生じるモアレ現象を利用して、計測対象の法線ベクトル分布から表面形状を計測する。この方法で、曲率半径-20~20m-1のミラーと、めっき塗装された小型車体模型の上面部の表面形状を計測できた。
【日本語関連論文】
・廣瀬知弘 他, "モアレデフレクトメトリに基づく鏡面形状計測",ビジョン技術の実利用ワークショップ ViEW2012, OS4-H5(IS2-A5) (2012).
・廣瀬知弘 他, "モアレデフレクトメトリによる鏡面の三次元形状計測",第60回応用物理学会春季学術講演会, 29a-PA2-10, (2013). -
5. Three-dimensional Measuring Method for a Circular Hole
丸孔3次元位置計測技術の開発(954kB)pages 27-33
塚田敏彦、渡辺恵一、小出光男、廣瀬政秀、堀江洋平、山岸靖則
自動車ボディ建付けの位置決め基準として広く用いられている丸孔3次元位置情報を得るために、光切断法による3角測量で、丸孔円周上の4つの特徴点の3次元座標を計測する方法を開発した。その結果、実験において±0.05mm以下の計測精度が得られた。
【日本語関連論文】
・塚田敏彦 他, "自動車ボディ建付け品質向上のための3次元丸孔位置計測 ",ビジョン技術の実利用ワークショップViEW2011, A-4H(I1-15) (2011).
Part II.ハイライト論文
論 文
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pages 35-42
石崎敏孝、佐藤敏一、渡邉亮太、山田靖、大澤文明、久野敦輝、田根篤、柳瀬匡史
脂肪酸とアミン被覆によるCuナノ粒子の新規合成法を検討した。Cuナノ粒子の有機被膜は、不活性雰囲気中でも300℃以下で熱分解可能であることが分かった。接合温度350℃でCuナノ粒子による接合試験片の熱伝導率は既存のはんだよりも高いことが分かった。
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pages 43-51
青木正和、三輪和利、則竹達夫、李海文、折茂慎一
カルシウムボロハイドライドCa(BH4)2の熱力学的安定性と脱水素化特性について、理論的・実験的に実施した研究結果を報告する。Ca(BH4)2の結晶構造を放射光粉末X線回折測定により調査し、得られた構造情報を用いて第一原理計算により基礎特性を予測した。以下に示される脱水素化反応が予測され、熱重量分析や圧力-組成等温線測定において、予測を支持する結果が得られた。
Ca(BH4)2→2/3CaH2+1/3CaB6+10/3H2