47巻2号 (2016.6)
特集
パワートレーン解析技術
Part Ⅰ.特集
特集概要
論文
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2. Laser Diagnosis Using Optically Accessible Single Cylinder Engine
可視化エンジンを用いた筒内レーザ計測 (1,762kB)pages 1-11
福井健二、藤川武敏、服部義昭、遠山護、秋濱一弘
従来困難であったエンジン筒内の内部EGR分布計測の手法として「トレーサ生成LIF(レーザ誘起蛍光)法」を開発した。この手法は、紫外光の照射によって添加剤自体は蛍光を発しないが、その燃焼生成物は強いLIF光を発することを利用したことが特徴である。本手法による計測で、点火時期でも内部EGR分布が残っていることを確認した。
【日本語関連論文】
・藤川武敏 他, "内部EGR分布計測技術の開発(第1報) ― トレーサ生成LIF法の原理と基礎検討 ― ", 自動車技術会論文集, Vol. 38, No. 6 (2007), pp. 89-94.
・福井健二 他, "内部EGR分布計測技術の開発(第2報) ― 4サイクル全行程における挙動解析 ― ", 自動車技術会論文集, Vol. 38, No. 6 (2007), pp. 95-100. -
pages 13-21
冬頭孝之、瀧昌弘、葛山裕史、梅原努
分割噴射を用いる圧縮着火機関で、2つの筒内圧力上昇ピーク間で生じる干渉が燃焼騒音スペクトルの最大周波数成分を低減し、オーバーオールな燃焼騒音を低下させることができる。この周波数での周期はピーク間隔の2倍となる。この燃焼騒音低減機構を消音スパイク燃焼と名付けた。
【日本語関連論文】
・冬頭孝之 他, "二段着火予混合燃焼を活用した高効率クリーンディーゼル燃焼(第3報) ― 2nd 噴射によるエミッション・騒音低減機構の解明 ― ", 自動車技術会論文集, Vol. 45, No. 3 (2014), pp. 493-499. -
4. Ignition of Fuel-air Mixture by a Lubricant Oil Droplet
単一オイル液滴に誘発される燃料-空気混合気の着火に関する研究 (1,282kB)pages 23-31
大友光彰、宮川浩、小池誠、横尾望、中田浩一
オイル液滴は、その初期温度が250℃以上の条件下では、自着火により周囲の燃料-空気混合気の燃焼を誘発した。この結果、既燃ガスにさらされて温度上昇したオイル液滴が次サイクルまで筒内に残存した場合、LSPIと呼ばれる異常燃焼を引き起こす可能性があることがわかった。
【日本語関連論文】
・大友光彰 他, "単一オイル液滴が混合気の着火に及ぼす影響",自動車技術会論文集, Vol. 46, No. 1 (2015),pp. 43-49.
・大友光彰 他, "過給火花点火機関における低速プレイグニッション発生メカニズム", 自動車技術会論文集,Vol. 46, No. 5 (2015), pp. 881-886. -
pages 33-47
長野進
2.4L火花点火式エンジンでEGR改質による燃費改善をした。そして、テストピースを用いて、新しい触媒活性の回復法を示した。CZA(セリア・ジルコニア・アルミナ)担体触媒でE85を使用すると70時間以上、水素生成能は劣化しないことがわかった。
【日本語関連論文】
・長野進 他, "エタノール混合ガソリン水蒸気改質における改質触媒選定とエンジンEGR改質による燃費改善", 自動車技術会論文集, Vol. 43, No. 2 (2012), pp. 325-330.
・長野進 他, "エタノール混合ガソリン水蒸気改質における改質触媒の劣化・回復", 自動車技術会論文集, Vol. 43, No. 3 (2012), pp. 679-684. -
pages 49-59
山田智久、稲垣英人、野沢右、勝見則和、山下健太郎、川合清行
吸気管負圧時のオイル上がりと定常運転時のオイル消費変動について複数の計測技術を組み合わせて調べた。これらはピストンリングの上下動や回転で変化するランド圧力に大きく左右される。適切なリング設計によるランド圧力の制御が重要であることがわかった。
【日本語関連論文】
・稲垣英人 他, "ピストンリング諸元が吸気管負圧時のオイル上がりにおよぼす影響", 自動車技術会論文集, Vol. 44, No. 2 (2013), pp. 393-398.
・野沢右 他, "小型データロガーによるピストン計測技術", 自動車技術会学術講演会前刷集, No. 142-12 (2012), pp. 1-4.
Part II.
論文
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pages 61-69
田所幸浩、葛西誠也、一木輝久、田中宏哉
ハレーション環境ではセンサが飽和状態となり、歩行者を認識する事は困難である。本検討では確率共鳴現象に着目し、センサ駆動電圧に雑音を加えるだけで本状態を回避する簡易な手法を提案する。試作評価の結果、本環境でも歩行者認識性能を改善することがわかった。
【日本語関連論文】
・田所幸浩, 他, "確率共鳴現象の応用によるハレーション環境での歩行者認識性能の改善", 情報処理学会高度交通システム(ITS)研究報告, Vol. 2014-ITS-56, No. 10 (2014), pp. 1-7.
短報
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8. Automatic Process Design Technology for Two-dimensional Machining
2次元加工用自動工程設計技術 (489kB)pages 71-73
藤田充洋、寺本一成
金型構造部などの穴を含む、溝、平面などの2次元形状を対象に、現場の実情やノウハウを反映し、日々進歩する加工法の変化に柔軟に対応できる2次元加工用の自動工程設計技術を開発した。
【日本語関連論文】
・藤田充洋 他, "汎用穴加工の自動工程設計システム", 精密工学会秋季大会 セッションID: G37 (2012).