48巻3号 (2017.9)
特集
長寿命・高出力リチウムイオン二次電池の設計
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特集概要
論文
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2. Electrochemical Behavior of LiNiO2-derivatives and Their Cycling Stability in the Cylindrical Lithium-ion Batteries
Ni系正極材料の充放電挙動と円筒型電池のサイクル安定性(4648kB)pages 1-15
牧村嘉也、佐々木厳、野中敬正
リチウムイオン二次電池用正極材料の研究動向を概説する。なかでも層状Ni系酸化物を正極に用いたリチウムイオン二次電池の特徴について述べ、電池の高温耐久性の低下と正極の材料劣化の関係、材料改質による電池性能向上について議論する。
【日本語関連論文】
・牧村嘉也, "第8編 第3章 第3.6節 LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2正極", 電池ハンドブック (2010), pp. 445-449, オーム社.pages 17-24
荻原信宏、伊藤勇一
多孔体電極内部の抵抗成分を分離するための新規な手法を開発した。対称セルを用いたインピーダンス分光解析に伝送線モデル理論を組み合わせた。 本手法により、電子抵抗、電解液抵抗、多孔体内部のイオン抵抗、および電荷移動抵抗の切り分けに成功した。
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pages 25-30
伊藤勇一、荻原信宏
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pages 31-37
野中敬正、牧村嘉也、奥田匠昭
リチウムイオン電池正極材料の熱分解挙動を調査するため、高温下で測定可能なXAFS・XRD測定装置を開発した。同装置をLiNi0.75Co0.15Al0.05Mg0.05O2正極材料に適用し、室温から450℃までの昇温に伴う化学的・構造的変化を明らかにした。
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pages 39-51
Michael Hess、佐々木厳、Claire Villevieille、Petr Novák
リチウム二次電池材料における、非常に速い充放電反応時にしか存在しない過渡的な中間状態を直接捉える新規手法を開発した。その手法を用いてLiFePO4の高速充放電を可能とする固溶体相を発見した。
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pages 53-66
大庭伸子、山川俊輔、旭良司
リチウムイオン二次電池における負極材料(グラファイト)と正極材料(Li遷移金属酸化物)中のLi拡散について、それぞれ原子レベルのナノスケールと材料組織レベルの連続体スケールシミュレーションから解析した結果を報告する。