49巻2号 (2018.6)
特集
クルマの軽量化・高効率化を支える先進金属材料と加工プロセス
Part Ⅰ.特集
特集概要
論文
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pages 1-8
田中浩司、加藤元、大島正、杉山夏樹
レーザクラッドバルブシート用Cu-Ni-Fe-Mo-Si合金は、溶融状態で分離分散した液滴が凝固過程で耐摩耗性粒子を形成する。耐摩耗性は、Mo/Ni比によって制御した硬質粒子の量や大きさ、ならびに計算から得られたL2量に依存することが分かった。
【日本語関連論文】
・大島正 他, "レーザクラッドバルブシート用CoフリーCu合金の開発", まてりあ, Vol. 57, No. 1 (2018), pp. 17-19.
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pages 9-14
三宅賢武、松本伸彦、近藤幹夫
本研究では、FeMS(Fe-Mn-Si-C)粉およびSUS410L粉を添加し、Cu、Niフリー焼結鋼の強度および靱性向上を検討した。FeMS粉およびSUS410L粉を添加した開発鋼は、ベイナイト基地中にマルテンサイトが島状に分散した複合組織となり、引張強さ1000MPa、衝撃値50J/cm2以上という優れた機械的性質を示した。
【日本語関連論文】
・三宅賢武 他, "Cu, Niフリー高強度高靱性焼結鋼 第1報", 粉体および粉末冶金, Vol. 63, No. 5 (2016), pp. 277-281.
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4. Hot Stamping Process Design for Improvement of Formability
ホットスタンプの成形性向上技術(1245kB)
pages 15-23
太田英一、与語康宏、岩田隆道、岩田徳利
ホットスタンプ成形時の鋼板に温度分布を設けることで、従来比3倍優れる深絞り成形性を実現した。製品形状毎に異なる適切な温度分布については、成形CAEを活用して変形時のひずみ分布を解析することで導出可能である。
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pages 25-33
古田忠彦、宮嵜伊弦、大石敬一郎、倉本繁
Fe-24%Ni-4%Al-0.45%C合金における冷間圧延中およびその後の引張試験中のミクロ組織変化を調査した。強冷間加工したサンプルは降伏強度:1400MPa、伸び:40%の超高強度・高延性を示した。すべり変形、変形双晶、応力誘起変態などのマルチモード変形が、不均一なミクロ組織形成、および優れた強度-延性バランスに寄与したと考えられる。
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pages 35-41
川畑博之
Mg合金をリサイクルする際、不純物元素としてCuが混入し、耐食性が著しく低下する。本報告では、Cu混入により低下した耐食性をZn添加によって改善した事例について報告する。
【日本語関連論文】
・川畑博之 他, "Cuを含有するMg-9%Al合金のZn添加による耐食性改善", 第120回軽金属学会春期大会講演概要 (2011), pp. 337-338.
・川畑博之, 瀬口剛, "銅を含有するMg-9%Al合金の亜鉛添加による耐食性改善", 軽金属, Vol. 64, No. 12 (2014), pp. 623-627.
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pages 43-49
前嶋貴士、池畑秀哲、三田尾眞司
Niを添加したCuリードフレームは、使用環境温度ではんだ接合部界面のボイド形成を抑制した。この現象は界面の金属間化合物(IMC)層の成長挙動と強い相関があった。Ni添加がIMC層の成長挙動および元素拡散挙動に及ぼす影響を組織解析/熱力学・速度論的観点から考察した。
【日本語関連論文】
・前嶋貴士 他, "Cu-Snはんだ/Cuリードフレーム界面に及ぼすNiの影響 -界面反応の熱力学-", 第20回「エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術」シンポジウム講演録 (2014), pp. 247-250.
Part II.
スペシャルレビュー
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pages 51-64
鷹取一雅
豊田中央研究所のセラミックス関連技術開発として、高性能構造用セラミックス、炭化物被覆鋼、有機・無機ハイブリッド材料、排ガス浄化の触媒担持セラミック粉末、可視光応答光触媒、超高品質炭化ケイ素単結晶、高性能鉛フリー圧電セラミックスなどを紹介した。
【日本語関連論文】
・上垣外修己, "高性能セラミックスの製法と特性", 豊田中央研究所R&Dレビュー, Vol. 12, No. 4 (1977), pp. 34-60.
・上垣外修己, "セラミックスの破壊・強度", 豊田中央研究所R&Dレビュー, Vol. 12, No. 4 (1977), pp. 1-33.
・新井透, 杉本義彦, "TDプロセスの現状と応用", 実務表面技術, Vol. 28, No. 1 (1981), pp. 34-60.