49巻3号 (2018.9)
特集
クルマの効率向上を支える熱制御技術
特集
特集概要
論文
-
pages 1-8
岩田隆一、山内崇史、廣田靖樹、青木正和、志満津孝
塩化マグネシウムのアンモニア吸蔵・放出反応に関して、粒子内輸送抵抗に対し、反応材充填層内の熱伝導/拡散抵抗が十分小さい条件で平衡圧を測定し、吸蔵反応と放出反応の平衡圧が一致することを示した。また、粒子内輸送抵抗を含む反応速度モデルを提案した。
-
pages 9-17
廣田靖樹、岩田隆一、山内崇史
エンジンクーラント排熱を利用した吸着式冷凍機の実用化に向けた検討をしている。プレート型の熱交換器にハニカム成形した吸着材を接合した新規構造の吸着器を提案し、従来の塗布式吸着器に比べて1.81倍の体積当たりの冷熱出力を持つ吸着器を実証した。
-
pages 19-28
間広文、松原賢東、増岡優美、旭良司
高い熱電変換効率を得るためには高い性能指数を有する熱電材料が必要である。そのために我々は同時ドーピング、結晶欠陥制御、フィルタリング効果の3つをコンセプトとした材料設計を第一原理計算によって行い、実際に作製した熱電材料で高性能化を実証した。
-
pages 29-41
生野元
温調エアシャワーを供試材の周りに循環させる新たな方式の均一迅速熱疲労試験システムを考案した。このシステムを用いて、実用電子基板の冷熱周期を60minから12minに短縮でき、はんだ接合部のクラック損傷と破壊モードも再現することを確認した。
【日本語関連論文】
・生野元, "電子部品の迅速熱疲労試験技術の開発", 第53回高温強度シンポジウム前刷集 (2015), pp. 50-53.
・生野元, "マイクロ接合部の熱疲労損傷を抵抗変化から自動定量検査する新手法の開発", エレクトロニクス実装学会誌, Vol. 20, No. 3 (2017), pp. 140-147.
-
6. A Study on Thermal Conductivity Increase in Nanofluids
ナノ流体の熱伝導率向上に関する研究(903kB)
pages 43-49
矢野一久、吉田亨次
エチレングリコールに少量のCuナノ粒子を添加することにより、熱伝導率が大幅に向上する。この理由を調べるために、X線非弾性散乱測定を行った結果、高周波音速が大きく影響を受けることが明らかになった。このことは、溶媒分子がナノ粒子によって拘束されていることを示唆している。
-
7. Tailoring Thermal Radiation toward Novel Thermal Devices
新規熱デバイスに向けた輻射制御技術(1897kB)
pages 51-59
伊藤晃太、西川和孝、三浦篤志、年吉洋、飯塚英男
熱輻射は、波長以下の構造あるいは相転移材料によって制御される。我々は、6種類の熱輻射デバイスを提案した。それらは、熱ダイオード・複数レベル熱記憶素子・金属-絶縁体-金属メタマテリアル、グラフェンプラズモンにより制御される方向性熱輻射デバイス、近接場熱輻射のためのギャップ形成法、近接場熱スイッチである。