49巻4号 (2018.12)
特集
燃料電池車普及への挑戦-発電反応場を操る
Part Ⅰ.特集
特集概要
論文
-
pages 1-11
兒玉健作、陣内亮典、篠原朗大、森本友
固体高分子形燃料電池におけるPt/アイオノマ界面の設計指針を得るため、白金単結晶表面を種々の物質で修飾し、その電気化学特性を調べた。触媒表面の脆弱なサイトを安定な物質で保護すること、アイオノマのアニオン構造および側鎖の柔軟性を変えることが、触媒の活性・耐久性を向上させる上で有効であることが示された。
-
pages 13-19
鈴木孝尚、工藤憲治、森本友
固体高分子形燃料電池のカソード触媒-アイオノマ界面に酸素輸送抵抗があることを、微小電極での実験から明らかにし、電極-電解質接合体を用いた試験から、界面の輸送抵抗層の厚さが触媒を被覆するアイオノマよりはるかに薄いことを示した。
-
pages 21-31
津坂恭子、北野直紀、山本高司、長谷川直樹、小岩井明彦、川角昌弥
高プロトン伝導度と水不溶性とを両立する新規電解質として、超酸基を低分子で架橋し、高密度に配置したイミドネットワークポリマ(INP)を提案する。INPは20%RHでNafionの約15倍の高いプロトン伝導度を示した。
【日本語関連論文】
・津坂恭子 他, "新規イミドネットワークポリマの合成と物性", 電気化学会第82回大会講演要旨集 (2015), No. 3B18.
・北野直紀 他, "イミドネットワークポリマ電解質複合膜の作製と物性評価", 電気化学会第82回大会講演要旨集 (2015), No. 3B19.
-
pages 33-46
篠崎数馬、森本友、Jason W. Zack、Svitlana Pylypenko、Ryan M. Richards、Bryan S. Pivovar、Shyam S. Kocha
燃料電池触媒の酸素還元活性を微少量で簡便に評価可能な回転電極法を用いて、信頼性の高い活性評価を実現する手法を詳細に検討した。この手法を適用して、Pt粒径およびアイオノマの酸素還元活性への影響を検討した。
Part II.
スペシャルレビュー
-
pages 47-60
新庄博文
'70年代後半に導入された三元触媒は、それ以降も、厳しい規制強化や規制の全世界展開に伴う様々な課題に対応し、進化しつづけてきた。ここでは、独自創製の触媒材料などを有効に活用することにより、これらの課題解決に繋がった代表的な触媒とその基となった触媒技術を紹介する。
【日本語関連論文】
・新庄博文 他, "パラジウム三元触媒のNOx浄化活性に及ぼすバリウム添加効果", 日本化学会誌, Vol. 1995, No. 10 (1995), pp. 779-788.
・新庄博文 他, "ランタンおよびバリウム添加パラジウム三元触媒の耐久性", 日本化学会誌, Vol. 1996, No. 5 (1996), pp. 433-440.
・村木秀昭 他, "貴金属触媒上での一酸化炭素の酸化反応におけるPeriodic Operation効果", 日本化学会誌, Vol. 1985, No. 2 (1985), pp. 176-181.
・村木秀昭 他, "Pd/Al2O3触媒上でのNO-CO-O2反応", 日本化学会誌, Vol. 1985, No. 9 (1985), pp. 1682-1688.
・村木秀昭 他, "希土類酸化物添加パラジウム系触媒による一酸化窒素還元反応", 日本化学会誌, Vol. 1986, No. 2 (1986), pp. 130-137.