当社の佐藤勇気らが行った研究成果が、Advanced Optical Materialsに掲載されました。

 

光通信や光回路の高性能化が進む中、欠陥や曲がりに強く、安定に光を伝播する「トポロジカルフォトニクス」への期待が高まっています。特にバレー型フォトニック結晶は比較的実現しやすいのですが、期待する周波数帯やトポロジカルな特性を得るには試行錯誤が必要で、設計計算の負担も大きいという課題がありました。

本研究では、望む光の性質や周波数帯から結晶構造を求める「逆設計」の手法を提案しました。電磁場の回転の向きを表す量である「横スピン角運動量*1」を指標に結晶構造を最適化することで、2つの周波数帯で光が伝わらなくなる領域(バンドギャップ)を持ち、かつバンド端において望む光の状態(擬スピン状態*2)をもつフォトニック結晶を効率的に設計できるようになります。また、得られた結晶を組み合わせることで、周波数に応じて光の進む経路が切り替わる導波路を数値実証し、曲がり経路でも高透過(約0.90と0.95)であることを確認しました。
本手法は、光信号を柔軟に制御する次世代フォトニックデバイスの設計基盤となることが期待されます。

 

本研究のイラストが雑誌の表紙の一つに使われています。
https://doi.org/10.1002/adom.70317

 

*1 横スピン角運動量(TSAM:Transverse Spin Angular Momentum):光(電磁波)などの波動において、エネルギーの伝搬方向(波の進む向き)に対して垂直な方向にスピン角運動量ベクトルを持つ状態
*2 擬スピン:実空間上での光(電磁波)などの波動の位相が回転する方向

 

タイトル: Inverse Design of Dual-band Valley-Hall Topological Photonic Crystals with Arbitrary Pseudospin States
著者: Sato, Y., Esaki Muthu, P., S., Oba, J., Yatsugi, K.
掲載誌: Advanced Optical Materials
掲載日: 2025年8月19日

https://doi.org/10.1002/adom.202500994