当社の坂本直柔らが名古屋大学と共同で行った研究成果が、Journal of the American Chemical Societyに掲載されました。

 

二酸化炭素(CO₂)を有用な化学品へ変換する技術は、温室効果ガス削減と資源循環型社会の実現に向けて重要です。特に電気によってCO₂を変換する電解反応は、再生可能エネルギーとの親和性が高く、注目されています。触媒活性を制御しやすい分子触媒を用いた反応が注目されてきましたが、反応中に触媒がどのような化学状態や配位構造をとりながら反応を進めているのかは、理論計算に基づく推測にとどまる場合が多く、実験的な裏付けが不足していました。特に電極上に固定化された分子触媒(不均一化触媒)では、反応機構の解明が困難でした。

 

本研究では、イリジウム分子触媒を電極上に固定化し、反応中の状態をリアルタイムで観測するオペランド分光分析手法として「X線吸収分光」と「表面増強ラマン散乱」を組み合わせることで、CO₂からギ酸(液体燃料の一種)が生成する過程を直接観察しました。その結果、ギ酸生成に至る過程で3種類の反応中間体が時間差をもって生成することを実験的に捉え、理論計算で得られた活性化エネルギーの値とも高い傾向の一致を示しました。本研究で確立されたオペランド解析手法は、分子触媒反応を実時間で理解するための指針となります。今後、CO₂変換触媒の合理的な設計を進めることで、高効率な炭素資源利用技術の発展に貢献することが期待されます。

 

タイトル: Mechanism of CO₂ Electrolysis with Heterogenized Molecular Iridium Catalysts Deciphered Using Operando Spectroscopy

著者: Sakamoto, N., Sekizawa, K., Sato, S., Jung, J., Wakabayashi, T., Kamada, K., Nonaka, T., Uyama, T., Morikawa, T., Saito, S.

掲載誌: Journal of the American Chemical Society

掲載日: 2025年12月24日

https://doi.org/10.1021/jacs.5c19250