当社の釘本恒らが行った研究成果が、 Applied Thermal Engineering に掲載されました。
月面のような真空環境では、空気による冷却ができないため、宇宙空間へ放熱する仕組みが不可欠です。しかし、大きな放熱パネルは打ち上げ時の質量や収納体積の制約があります。従来は形状記憶合金やポンプを用いた展開式が提案されてきましたが、電力消費や機構の複雑化、信頼性の確保が課題でした。
本研究では、温度変化による作動流体の蒸気圧の増減を利用し、ばねとの力のつり合いだけで放熱面を自律的に展開・収納するインフレータブル放熱器を開発しました。真空実験では約34℃で自動展開し、放熱量は26.6Wから40.2Wへ増加しました。さらに熱抵抗モデルから、月面では253W/m²の放熱性能(理論値の86%)が見込まれることを示しました。
この電力や外部制御を必要としない軽量構造は、将来の月面探査や深宇宙ミッションの高効率な熱制御技術として期待されます。
タイトル: Smart Inflatable Radiator for Autonomous, Temperature-driven Heat Dissipation
著者: Kugimoto, K., Hirai, T., Kaneko, T.
掲載誌: Applied Thermal Engineering
掲載日: 2025年10月30日