当社の尾崎貴志らが行った研究がCommunications Physicsに掲載されました。

 

スマートフォンやIoT機器では多様な無線通信規格への対応が求められています。そのため、必要な電波だけを選択し、不要な電波を抑えるRF(高周波)フィルタには、小型化に加えて、通す周波数の幅を柔軟に変えられることが期待されています。しかし従来の高性能RFフィルタでは、複数の共振器の組み合わせや、多数の調整要素の制御が必要であり、小型化や制御の複雑さが課題となっていました。
 

本研究では、単一のMEMS機械共振器の中に存在する複数の振動モードを、あたかも複数の共振器が一列に並んだ格子のように扱う新しいRFフィルタ方式を提案しました。振動モード間の周波数差に合わせた交流信号を与えることで、異なる振動モード同士を結びつけ、周波数方向の“仮想的な格子”を作ります。この結びつきの強さを交互に変えることで、仮想格子の両端に局在した特殊な状態(トポロジカルエッジ状態)が現れ、特定の周波数成分を選択的に通しやすくなることを数値解析により示しました。本方式では、従来は複数の共振器が必要だったフィルタ機能を単一の共振器で実現できるため、フィルタ素子の小型化につながります。さらに交流信号の強さの比だけを変化させるシンプルな制御方法にもかかわらず、信号を通す周波数帯域の幅を連続的に調整できるという利点があります。
 

本技術は、将来的に、共振器数や制御パラメータを抑えながら多様な周波数帯域に柔軟に対応できる、省スペースな無線通信機器の実現につながることが期待されます。
 

 

タイトル: Electrically Reconfigurable Topological RF Filter Utilizing a Synthetic Frequency Dimension in a Single Mechanical Resonator

著者: Ozaki, T., Ohta, N., Ma, J., Fujiyoshi, M

掲載誌: Communications Physics

掲載日: 2026年4月9日

https://doi.org/10.1038/s42005-026-02621-8