42巻3号 (2011.9)
特集
ナノ材料
Part Ⅰ.特集
特集概要
レビュー
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2. Synthesis and Modification of Silicon Nanosheets
シリコンナノシートの合成と修飾(893kB)pages 1-7
中野秀之、岡本浩孝
本レビューでは、シリコンナノシート、および有機化シリコンナノシートに関して解説する。これらのシリコンナノ材料はソフト化学プロセスを用いて溶液中で合成される。得られたシートは、厚さが1ナノメートル前後であり、横方向にマイクロメートルオーダーの、非常に異方性の高い材料である。
論 文
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pages 9-18
岡本篤人、郡司島造、井上崇、太田理一郎、西川恒一
液相合成ナノ粒子を触媒とした気相化学成長法を用いて垂直配向カーボンナノチューブ(VACNTs)の直径を制御し、UV照射を経た窒化処理によってNCNTs紡糸体を作製した。得られたVACNTsの熱・電気伝導特性、およびNCNTsの化学結合状態・電気伝導率について評価した。 -
pages 19-26
溝下倫大、後藤康友、前川佳史、谷孝夫、稲垣伸二
オリゴフェニレンビニレンあるいはテトラフェニルピレンを細孔壁骨格内に導入した有機シリカメソ構造薄膜は強い青色蛍光を示した。メソ細孔内に種々の蛍光色素を導入し、細孔壁骨格から色素への励起エネルギー移動を利用することで、白色を含む高効率多色発光を達成した。
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5. Novel Photocatalysts Based on Periodic Mesoporous Organosilica
メソポーラス有機シリカを利用した新規な光触媒(2,642kB)pages 27-34
谷孝夫、竹田浩之、大橋雅卓、稲垣伸二
メソポーラス有機シリカ(PMO)の光捕集機能あるいは光誘起電子供与能を利用して、新規な光触媒を構築した。これらは、光照射により光触媒的にCO2を還元、あるいは水素を生成することがわかった。PMO骨格に導入する有機基と細孔内に固定する触媒を組み合わせることにより、多彩な光触媒が構築できる可能性が示された。 -
6. Au Nanoparticle-embedded Core/shell Mesoporous Silica Spheres
金ナノ粒子内包コアシェル型単分散球状メソポーラスシリカ (896kB)pages 35-45
熊谷等、中村忠司、矢野一久
金ナノ粒子を内包したコアシェル型の単分散球状メソポーラスシリカ(MMSSs)を合成した。コアに補足された金ナノ粒子はシェルの立体障害によりMMSS表面へ析出することなくコア内に保持されている。
Part II.ハイライト論文
論 文
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pages 47-51
田口敏行、榊原清美、中嶋敦史、脇田敏裕、養父昌平、渥美文治
呼気アルコール濃度を定量的に検知する新しい方法を開発した。アルコールセンサの変化を酸素センサの変化で補正することにより、マウスピースを使わないで呼気アルコールを定量することができる。飲酒呼気を使った評価により、良好な特性を確認した。
【日本語関連論文】
・田口敏行 他, "呼気アルコール検出法の開発",自動車技術会学術講演会前刷集,No.53-08 (2008), pp.13-16. -
pages 53-62
加藤直彦、樋口和夫、田中洋充、中島淳二、佐野利行、豊田竜生
色素増感型太陽電池モジュールの長期屋外作動試験を実施し(約2.5年)、劣化部位が主に有機溶媒(γブチロラクトン)を用いた電解液であると判明した。イオン液体電解質により、耐久性が大幅に改善され、加速係数から屋外寿命は15年相当と見積もられた。
【日本語関連論文】
・加藤直彦 他, "色素増感型太陽電池の実用化に向けた要素技術開発", 太陽エネルギー, Vol.35, No.1 (2009), pp19-25. -
pages 63-70
今川晴雄
NOx吸蔵還元型触媒用として Al2O3とZrO2-TiO2固溶体のナノ複合担体を合成した。ナノレベル複合化によりZrO2-TiO2粒成長が抑制され、耐熱性が向上した。また、TiO2添加により硫黄付着を抑制し、硫黄脱離性も向上させることで、耐熱性と耐硫黄性を両立した触媒担体が可能となった。
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pages 71-85
箕浦宏明
1信号サイクル間で、下図に示す1mの高さで計測した 粒子の揮発性成分の体積(VVC)は交通量と線形関係 を示し、自動車排気総量に比例し揮発性成分の体積増 加が見られた。一方、上図に示す粒子数濃度(NCwoTD) は、核生成過程が大気中の核前躯体や凝縮性ガスの状 態の影響を受けて変化するため、ヒステリシスを示した。 なお、A-Eは、1信号サイクル内の時間帯を示す。