43巻1号 (2012.3)
特集
予防安全
Part Ⅰ.特集
特集概要
論 文
-
2. Angular Spread Estimation of Reflected Signal for Automotive Radar
車載レーダによる到来波角度広がりの推定(786kB)
pages 1-6
小川勝
物体で反射された複数の素波からなる反射波を解析することで、反射波の到来方向とその角度広がりを同時に推定できる微係数拘束付積分型Capon法を提案した。さらに計算機シミュレーションによって、提案手法の検出性能とその実用性を明らかにした。
【日本語関連論文】
・小川勝, 菊間信良, 佐藤和夫, 平山裕, 榊原久二男, "積分型モードベクトルを用いた微係数拘束付きCapon法による到来波の角度広がり推定", 電子情報通信学会論文誌B, Vol.J92-B, No.6 (2009), pp.921?929.
・小川勝, 菊間信良, 佐藤和夫, 平山裕, 榊原久二男, "微係数拘束付き積分型Capon法による角度広がり推定の改善", 電子情報通信学会論文誌B, Vol.J93-B, No.2 (2010), pp.390-393. -
3. Development of Next Generation LIDAR
次世代レーザレーダの開発(1,605kB)
pages 7-12
松原弘幸、曽我峰樹、Cristiano Niclass、伊藤晃太、青柳勲、各務学
自動車の周辺状況センシングを目的としたレーザレーダの開発を行っている。高感度受光素子であるCMOS SPAD(Single Photon Avalanche Diode)アレイとスキャン光学系を組み合わせることで、高解像度・高感度な小型レーザレーダを実現した。試作機で歩行者検知距離50m以上を達成している。
-
pages 13-23
寺本英二、小島祥子、目黒淳一、鈴木徳祥
GPSドップラーに基づく高精度軌跡と擬似距離との最適推定により、汎用GPSとIMUで5m場所率95%を達成する測位システムを開発した。加えて地図画像照合で1m場所率85%達成の見込みを得た。また、PRECISEと車載カメラを利用した安価な地図生成手法を提案し、運転支援に利用可能な精度を実現できる可能性を確認した。
【日本語関連論文】
・目黒淳一, 小島祥子, 鈴木徳祥, 寺本英二, "GPSドップラーと慣性センサの統合による車両軌跡推定手法の提案", 情報処理学会論文誌, Vol.53, No.1 (2012), pp.212-222.
-
pages 25-32
内藤貴志、後藤邦博、城殿清澄
交通事故低減に向け、衝突被害軽減や車線逸脱警報など予防安全システムが実用化されつつある。我々はより高度な安全システムを実現するために、カメラ、レーザレーダなどのセンサを用いて、歩行者などの存在のみならず、行動予測までも含む環境認識技術の開発を進めている。本論文ではその研究成果の一端を紹介する。
【日本語関連論文】
・後藤邦博 他, "FIND特徴を用いたカスケード型識別器による歩行者検出および向き推定", 自動車技術会学術講演会前刷集, No.11-11 (2011), pp.17-20.
・宮阪健夫 他, "高解像度レーザレーダを用いた走行環境における移動物の追跡と識別", ViEW2010 ビジョン技術の実利用ワークショップ, (2010), pp.205-210.
・城殿清澄 他, "高解像度レーザレーダによる歩行者識別", 日本ロボット学会誌, Vol.29, No.10 (2011), pp.97-104. -
pages 33-42
清水司、大濱吉紘、永田真一、佐久川純
熟練運転者の主観危険度を衝突確率として計算するフレームワークを提案する。自車や歩行者などの移動物の位置を確率的に表し、将来位置予測過程において道路環境や移動物状況から決まる主観パラメータを導入することにより、主観危険度を算出する。
【日本語関連論文】
・大濱吉紘, 清水司, 永田真一, 佐久川純, "衝突確率推定のための歩行者の行動予測法", 自動車技術会学術講演会前刷集, No.142-10 (2010), pp.19-22.
Part II.ハイライト論文
論 文
-
pages 43-52
金原秀行、中平祐子、岩本正実、Steven Rowson、Stefan M Duma
人体頭部脳FE(有限要素)モデルを用い、米国のアメフト学生選手から取得した100件の頭部重心6自由度の加速度データを解析した。脳モデルの挙動から脳損傷率(CSDM)を算出したところ、頭部の回転速度と加速度を基に新たに考案した評価手法と高い相関を示した。
【日本語関連論文】
・金原秀行, 中平祐子, 岩本正実, "頭蓋骨骨折を伴わない脳傷害予測手法の提案", 自動車技術会論文集, Vol.42, No.6 (2011), pp.1327-1333. -
pages 53-59
勝野高志、渡辺行彦、石川剛
原子間力顕微鏡により4H-SiCショットキー・バリア・ダイオード(SBD)のリーク電流源の表面形状を解析した。その箇所には、ナノスケールの円錐形の凹みが存在した。この形状による影響で、電界が集中し、リーク電流が発生したと考えられる。
-
pages 61-68
杉山隆英、山崎才弘、丹羽史和、亀山悟、三角忠司、金田哲弥、西脇克彦、石子雅康
PINダイオードの電気的動特性に対するヘリウム照射シリコン中の炭素不純物の影響を調べた。炭素を起源として形成された、格子間炭素と格子間酸素の複合体がホールトラップメカニズムに関連した重要な因子として働き、その高炭素濃度化が望ましくない電気的動特性としてダイナミックアバランシェ現象を引き起こす事を明らかにした。
【日本語関連論文】
・丹羽史和, 三角忠司, 山崎信也, 金田哲弥, 西脇克彦, 杉山隆英, "He 照射を用いたPiN ダイオードのダイナミックアバランシェ現象とCiOi 欠陥の相関", 電気学会 電子デバイス・半導体電力変換合同研究会資料, EDD-08-46/SPC-08-133 (2008), pp.1-5. -
pages 69-75
前川佳史、溝下倫大、脇稔、谷孝夫、嶋田豊司、稲垣伸二
種々の研究分野で注目される有機シリカハイブリッドは、有機アルコキシシラン前駆体の加水分解・重縮合により通常合成される。本解説では、その代替前駆体として期待される有機アリルシランについて、新規合成法の確立、有機シリカへの変換、低反応性の改善を中心に、最近の開発動向を紹介する。