44巻3号 (2013.9)
特集
電池
Part Ⅰ.特集
特集概要
レビュー
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2. Fabrication of Cu2ZnSnS4 Thin Film Solar Cells by Sulfurization
硫化法によるCu2ZnSnS4薄膜太陽電池の作製(2,817kB)
pages 1-18
深野達雄、野崎洋、田島伸、伊藤忠義、名児耶彰洋、旭良司
Cu2ZnSnS4(CZTS)結晶ではZnサイトへのCu置換が主なアクセプターサイトであり、太陽電池特性はこの置換に強く依存する。さらに、CZTS薄膜はCu2SnS3とZnSの反応を最終とする形成過程を必ず通る。これらの結果を応用することで高変換効率の太陽電池作製に成功した。
論 文
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pages 19-35
陣内亮典、兒玉健作、豊田英司郎、森本友
密度汎関数法を用いる界面電極反応の計算手法の一つDFT-MPB法の概要と最近の応用例とを紹介する。DFT-MPB法では、電極反応の原子スケールでの熱力学・速度論的諸物性をマクロスコピックな熱力学・速度論的関係式と矛盾することなく定式化でき、それらを実用的に有用な精度で計算できることを示す。
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pages 37-43
太田慎吾、小林哲郎、朝岡賢彦
高い安全性が期待される全固体電池用の固体電解質材料であるガーネット型酸化物の組成・結晶構造制御を行いリチウムイオン伝導率の向上に成功した。このガーネット型酸化物を固体電解質に用いて全固体電池を作製し、良好な電池特性が得られることを確認した。
【日本語関連論文】
・太田慎吾, "ガーネット型酸化物を用いた全固体電池の特性評価",機能材料 2013-6月号 (2013). -
pages 45-53
武市憲典、東相吾、志賀亨
各種酸素ラジカルの制御はLi-空気電池とその開発にとって極めて重要である。本報告では、ラジカル発生剤を用いた同電池用電解液スクリーニング法を報告するとともに、酸素ラジカル捕捉法を応用した、超高容量Li-O2/CO2電池を提案する。
Part II.ハイライト論文
レビュー
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pages 55-61
溝下倫大、谷孝夫、稲垣伸二
自己組織性ペリレンビスイミド誘導体を有機/シリカ ナノ複合体の形成に利用することで、ナノ複合構造の長距離均一配向化および新規秩序構造を有するメソ多孔有機シリカの構築に成功した。カラム状に組織化したペリレンビスイミドは優れた電気特性を示した。
論 文
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pages 63-72
鈴木登美子、中村忠司、佐伯周、松岡世里子、田中洋充、佐藤俊介、矢野一久、梶野勉、森川健志
窒素ドープ酸化タンタル(N-Ta2O5)ナノ粒子が凝集した球状多孔体の細孔内に直接合成法によりルテニウム錯体を連結したハイブリッド錯体触媒を作製した。本触媒は可視光照射、犠牲剤存在下においてCO2を高効率にギ酸へ変換する。
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pages 73-88
茶谷聡、森川多津子、中塚誠次、松永壮、箕浦宏明
大気汚染の激しい都市部における汚染物質の排出と輸送だけではなく、大陸からの汚染物質の長距離輸送も同時に表現できる3次元大気質シミュレーションを開発した。本シミュレーションを使用し、将来の人為発生源から排出される汚染物質が首都圏の大気質におよぼす影響を解析した。
【日本語関連論文】
・茶谷聡,森川多津子,中塚誠次,松永壮, "3次元大気シミュレーションによる2005年度日本三大都市圏PM2.5濃度に対する国内発生源・越境輸送の感度解析 ", 大気環境学会誌, Vol. 46, No. 2 (2011), pp. 101-110.