45巻4号 (2014.12)
特集
CAE・シミュレーション
Part Ⅰ.特集
特集概要
論文
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pages 1-10
岩田徳利、渡邊育夢、瀬戸山大吾、岩田隆道
複合組織鋼のマクロ力学特性予測に関する最近の我々の研究について紹介する。その予測方法は、結晶塑性構成モデルを用いた均質化有限要素解析である。その際、フェライトやパーライトに関する構成モデルを提案し、提案構成モデルの有効性を実験結果と比較することで検証した。さらに、フェライト-パーライト複合組織の構造形態の塑性変形特性の影響についても検討した。
【日本語関連論文】
・瀬戸山大吾, 渡邊育夢, 岩田徳利, "フェライト-パーライト複合組織鋼の組織形態と力学特性に関する実験と数値解析の比較研究", 鉄と鋼, Vol. 98, No. 6 (2012), pp. 290-295. -
pages 11-20
稲垣昌英
LES (Large Eddy Simulation) による乱流熱伝達/物質輸送の解析に適したサブグリッドスケールモデルを開発した。これを用いることで、格子解像度が低い場合や高いプラントル数/シュミット数の条件で見られる予測精度の低下を大幅に低減できる。
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pages 21-31
上田松栄、稲垣和久、高巣祐介、谷俊宏
ディーゼル燃焼を高速かつ高精度で予測できるモデルを開発し、列型エンジンモデルやエンジン制御モデルと融合した。列型エンジンの全運転領域及び過渡時の性能を予測評価、エンジン開発ツールとしての可能性を見出した。
【日本語関連論文】
・稲垣和久他, "サイクルシミュレーションによるディーゼル燃焼の過渡性能予測(第3報)-多段噴射での燃焼予測精度の向上-", 自動車技術会学術講演会前刷集, No. 83-11 (2011), 20115037.
・高巣祐介他, "サイクルシミュレーションによるディーゼル燃焼の過渡性能予測(第4報)-エンジン制御モデルの組合せによる過渡性能予測-", 自動車技術会学術講演会前刷集, No. 114-11 (2011), 20115673.
・稲垣和久他, "サイクルシミュレーションによるディーゼル燃焼の過渡性能予測(第5報)- 'バーチャルエンジン適合' を可能にする全運転域での燃焼特性予測精度の向上-", 自動車技術会学術講演会前刷集, No. 76-12 (2012), 20125141. -
pages 33-42
山川俊輔、旭良司、小山敏幸
材料組織の形成要因把握に有用なフェーズフィールド法を用いて、燃料電池用触媒である白金基合金ナノ粒子内の組成分布を解析した。結果、表面偏析元素種とその偏析量を、構成元素間の相互作用エネルギーおよび表面エネルギー差を指標として把握することができた。
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pages 43-50
梶田晴司、鷲津仁志、大森俊英
分子動力学(MD)のシミュレーションセル内に無限大のサイズを持つ格子を接続する方法を開発した。この方法はMD計算から発生する格子振動エネルギーを適切に散逸させることができるため、動摩擦、触媒反応、破壊力学の精確な分子シミュレーションに対して有効である。
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pages 51-58
川本敦史、松森唯益、近藤継男、野村壮史
本研究では、微分方程式の自動化解法を利用したトポロジー最適化を取り扱う。トポロジー最適化の設計空間の正則化の課題を説明し、偏微分方程式を用いたフィルターと最適化手法を提案する。提案手法をシート構造設計問題に適用し、有効性を示す。
Part II.
論 文
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pages 59-69
藤田悟、蒲沢和也、山本智、小岩井明彦、稲垣伸二、杉山純、川角昌弥
ナノ空間を構築するための鋳型と細孔骨格を形成する前駆物質との協奏的な自己組織化により創生される電解質は、プロトン源となるスルホン酸基を規則的に高密度に配列することが出来る。そのことにより、無加湿条件下でも、高いプロトン伝導性を示す。
短 報
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pages 71-73
原卓也
作物適性評価モデル(AEZモデル)に基づき、現状の土地利用を考慮した世界全体のバイオ燃料生産ポテンシャルを推計した。またAEZモデルの地域別作物別適性評価と現状の栽培地を比較しモデルの妥当性を検討した。
【日本語関連論文】
・原卓也, 福本敦勇, 山崎哲, "作物適性評価モデルに基づくバイオ燃料の生産ポテンシャルの推計", 第28回エネルギー・資源学会研究発表会講演論文集(CD-ROM) (2009). -
pages 75-77
山中玄太郎
本報では伝搬時間差式超音波流量計を用いた高さ2mmの矩形流路の非侵襲計測について報告する。相互相関関数による信号処理と1GSamples/secのADコンバータを採用することにより、2mm程度のチャンネルへの適用を可能とした。
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pages 79-81
向江秀之、安河内朗
ステアリングに微小な振動を付与し、トラッキング作業を行った結果、追従精度が向上する振動条件(20Hz)があることが分かった。これはステアリングから腕に伝達した振動が、主動筋の筋紡錘を刺激して確率共鳴現象を生じさせ、動きの精度が向上した効果と考えている。
【日本語関連論文】
・向江秀之, 安河内朗, "ステアリングへの微小振動付与が追従作業に及ぼす影響", 日本生理人類学会誌, Vol. 18, No. 3 (2013), pp. 115-124. 論文閲覧はCiNiiへ(CiNiiは国立情報学研究所のサービスです)