48巻1号 (2017.3)
特集
循環型社会や高齢化社会を支えるバイオテクノロジー
Part Ⅰ.特集
特集概要
論文
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pages 1-9
石田亘広、森哲哉、菊地淳
バイオリファイナリーの推進のためには、セルロース系バイオマスの構造解明が重要である。我々は、固体および溶液核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、バイオマス構成成分の詳細な帰属に成功した。帰属情報を活用することで、バイオマス構造変化の解析が可能となった。
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pages 11-20
松山崇
ハイブリッド・ナノ・セルロソームの構築と自己集合化ペプチドの同定によって、バイオマス主成分の結晶性セルロースを高い効率で糖化する人工セルロソーム技術への道筋を示した。
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4. Reconstitution of Artificial Cellulosome on Yeast Surface
酵母表層上での人工セルロソーム再構築(562kB)
pages 21-29
幸田勝典、今枝孝夫、北川孝雄、鈴木宏昭
バイオエタノールの生産に利用する酵母S. cerevisiaeへセルロース分解能の付与を行った。 セルロソームの成分である骨格タンパク質及びセルラーゼを酵母で生産、表層上で再構築させ、セルロース分解を確認した。また、セルロース分解能が向上する酵母遺伝子を見出した。
【日本語関連論文】
・粟冠和郎 他, "第5編 第16章 人工セルロソームの構築と酵母での発現", バイオマス分解酵素研究の最前線 ―セルラーゼ・ヘミセルラーゼを中心として― , (2012), pp. 190-195, シーエムシー出版.
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pages 31-38
星野文彦、杉山英彦、今枝孝夫
ガンマ線滅菌したウイルスを独自の光固定技術によりスライドグラス上に固定化し、複数種の血清中抗ウイルス抗体を同時に検出する酵素免疫測定法を実現した。本法は市販のデジタルカメラによる測定が可能であり、新興国における未熟な医療システムに貢献することが期待される。
【日本語関連論文】
・星野文彦 他, "第4編 第2章 分子認識光固定化法を用いた抗体チップの開発", 食品の生理機能評価法 ―実験系とツールの新展開を目指して―, (2007), pp. 167-177, 建帛社.
・星野文彦, "第1編 第6章 抗体チップを利用した抗肥満評価法の開発", 抗肥満食品・素材の開発と応用展開 ―メタボリックシンドロームにおけるバイオマーカーの確立と応用―, (2007), pp. 69-75, シーエムシー出版. -
pages 39-49
中根英雄、瀧昌弘、小島光博、森本宏
名古屋市における循環器疾患による救急搬送患者を対象として気象要因の急性影響を検討した。気温が最も強い関連を示し、年間を通じて低温側にリスクが観察された。また、脳血管系疾患の方が心臓血管系疾患よりも明確な関連が観察された。