50巻4号 (2019.12)
特集
車両の構造とプロセスの革新を目指して
Part Ⅰ.特集
特集概要
論文
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pages 1-13
西垣英一、朝賀泰男
構造物のモジュール化設計と手戻りの少ない工程順序を同時に考慮することが、多品種少量生産時代に求められている。最適な構造レイアウトを創出してクラスタ分析によりモジュールに分割し、それらの階層的なつながりを樹状図として求めることで、組付け順序も得られる手法を提案する。
【日本語関連論文】
・西垣英一, 朝賀泰男, "新規レイアウト構造の創出に基づくモジュール化手法", 日本機械学会論文集, Vol. 83, No. 853 (2017).
・西垣英一, 朝賀泰男, "概念設計手法とクラスタ分析による考察支援システムの構築", 日本機械学会 第27回設計工学・システム部門講演会講演論文集, Vol. 2017.27 (2017), 3308.
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pages 15-21
八百川盾、岩田靖、杉浦直晋、古川雄一
型レス鋳造法は、内リブや湾曲部を有するアルミニウム合金製品を作ることが可能な指向性凝固技術である。本報では、本技術の設備、製品の肉厚精度や成形速度を向上するための基礎、6000系アルミニウム合金の機械的性質と組織、自動車部品への応用について述べる。
【日本語関連論文】
・八百川盾 他, "型レス鋳造法による屈曲品成形時の熱的安定条件", 鋳造工学, Vol. 89, No. 7 (2017), pp. 396-401.
・八百川盾 他, "純アルミニウムの型レス鋳造における引き上げ可能速度の理論的検討", 鋳造工学, Vol. 89, No. 10 (2017), pp. 631-637.
・八百川盾 他, "中空形状品内部の気圧制御に基づく型レス鋳造の引上げ速度向上", 鋳造工学, Vol. 90, No. 8 (2018), pp. 457-462.
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pages 23-31
北原学、辻彩、浅田崇史、鈴木智博
車体軽量化に伴う高張力鋼板の使用拡大に備え、遅れ破壊評価技術を構築している。本報では、破壊限界線図による遅れ破壊評価法についての検討結果および実用上重要である負荷および表面処理が水素侵入に与える影響についての評価結果を報告する。
【日本語関連論文】
・北原学 他, "腐食環境下で応力付与した高張力鋼板の腐食速度と拡散性水素の評価", 材料と環境, Vol. 67, No. 4 (2018), pp. 172-178.
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pages 33-42
笹山俊貴、稲垣昌英、佐藤範和
繊維挙動シミュレーションモデルに対する計算効率化手法を構築した。単純せん断流れ場および射出成形流れ場において、従来モデルよりも計算コストを大幅に低減しつつ、同等の繊維配向挙動を再現できた。また、本手法の応用計算例として繊維破断シミュレーションを紹介する。
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pages 43-52
笹川崇、田中真人、表竜二
短繊維がランダムに配向した繊維強化複合材料の力学特性を、高精度かつ低コストに予測する手法を提案した。本手法では、短繊維強化複合材料のミクロ構造からパワースペクトルを求め、そのパワースペクトルを再現する仮想的な周期ミクロ構造を構築することで低コスト化を実現した。
Part II.
スペシャルレビュー
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pages 53-60
志賀亨
電解質、共役材料、および分子錯体に関する基礎研究に長年携わってきた。幸いにもいくつかの新規な現象に出くわすことができたので、その中からインパクトの高かった五つの研究事例とそれらの工学的応用について紹介する。
【日本語関連論文】
・志賀亨 他, "高強度高分子ゲルの電場による屈曲", 高分子論文集, Vol. 46, No. 11 (1989), pp. 709-713.
・志賀亨 他, "微粒子分散高分子ゲルの電気粘弾性効果", 高分子論文集, Vol. 48, No. 1 (1991), pp. 47-51.
・倉内紀雄, 志賀亨, "ポリマーゲルアクチュエータ", ゲルハンドブック (1997), pp. 349-353, エヌ・ティー・エス.
・志賀亨, "蛍光寿命測定を利用した高分子材料の内部応力評価", 豊田中央研究所 R&D レビュー, Vol. 33, No. 1 (1998), p. 83.
・志賀亨, "共役高分子の蛍光寿命測定を利用した残留応力評価", 未来材料, Vol. 2, No. 5 (2002), pp. 24-28.