【テーマ】 二酸化炭素と水から有機物を合成する人工光合成の実証研究
【受賞日】 2020年4月7日
文部科学大臣表彰 科学技術賞は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって⽇本の科学技術⽔準の向上に寄与することを⽬的とし、⽂部科学省が表彰しています。
地球温暖化抑制のため、CO_{2}排出量の削減、固定化が強く求められています。その一方で、化石燃料を使わずに有機物を生成することは極めて困難です。この課題に対し、植物の光合成システムを模倣する研究はこれまでも盛んに行われてきました。しかしながら、大気中のCO_{2}と水を原料に、太陽光のみをエネルギー源としてCO_{2}を還元する「完全な」人工光合成の達成は困難と考えられていました。
本研究では、水を分解する半導体触媒と、CO_{2}を還元する金属錯体分子触媒を複合化した新しい概念の光触媒を提案しこれを実現しました。その結果、従来の触媒では不可能であった一枚の板状構造素子への実装、水中での低電位、高効率のCO_{2}還元反応を可能にしました。
本研究により、CO_{2}を含んだ常温・常圧の水中で、太陽光のみをエネルギー源とする有機物(ギ酸)の連続合成が実証されました。またさらに、この完全な人工光合成において、植物を凌駕する太陽光変換効率を達成しました。
本成果は、今後工業用合成ガスやアルコールなど、より付加価値の高い有機物への高効率変換に発展させることで、CO_{2}を資源とする持続可能社会実現に寄与することが期待されます。