42巻2号 (2011.6)
特集
電子および光デバイス
Part Ⅰ.特集
特集概要
論 文
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2. A Vertical Insulated Gate AlGaN/GaN Heterojunction Field-effect Transistor
縦型GaNデバイスの開発(685kB)pages 1-4
兼近将一、杉本雅裕、副島成雅、上田博之、石黒修、樹神雅人、石井栄子、伊藤健治、上杉勉、加地徹
自立GaN基板を用いて、絶縁ゲートの縦型AlGaN/GaNへテロ接合電界効果トランジスターを試作した。このトランジスターのしきい値電圧は-16Vで、単位面積当たりのオン抵抗は2.6m Ω· cm2という低い値であった。
【日本語関連論文】
・兼近将一 他, "絶縁ゲートAlGaN/GaN-HFETの縦型動作", 電気学会電子材料 電子デバイス合同研究会資料, EFM-06-29, EDD-06-104 (2006), pp.21-24.
・兼近将一 他, "縦型GaNパワーデバイスの開発", 電気学会電子材料研究会資料, EFM-07-21 (2007), pp.31-34.
・兼近将一 他, "GaN, SiCパワーデバイスの車載応用", 電気学会電子デバイス研究会「グリーンITにおける電子デバイス」調査専門委員会研究会資料, EDD-11-038 (2011), pp.17-20.
・兼近将一 他, "GaN, SiCパワーデバイスの車載応用", 電子情報通信学会シリコン材料・デバイス研究会(SDM) 応用物理学会シリコンテクノロジー分科会資料 No.131 (2011), pp.21-24. -
pages 5-12
小島崇、西部祐司、山田靖、鳥居薫
ハイブリッド車(HV)のマルチチップインバータモジュール解析に適したRCコンパクト熱モデルを提案した。この熱モデルを電気・熱連成シミュレーションに適用し、実走行条件での高精度なチップ温度予測を可能にした。
【日本語関連論文】
・濱田公守 他, "ハイブリッド自動車インバータ用パワーエレクトロニクス回路シミュレーションの開発", 電気学会電子デバイス半導体電力変換合同研究会資料, EDD-06-60, SPC-06-132 (2006), pp.71-76. -
pages 13-20
森朋彦、竹内久人、菊澤良弘、野田浩司
グラフェンの最小単位であるヘキサベンゾコロネンを基本骨格とした有機トランジスタを作製した。層状に自己組織化する置換基を導入し良好なp型特性を、フッ素置換基を導入し良好なn型特性を得た。ガスセンサ応用を考慮し、アルコール応答を確認した。
【日本語関連論文】
・森朋彦 他, "第5章 有機トランジスタと分子配向 6. ヘキサベンゾコロネン有機トランジスタと層状分子配向", 有機エレクトロニクスにおける分子配向技術 (2007), pp.232-239, シーエムシー出版. -
5. Light-induced Self-written Optical Waveguides
自己形成光導波路 (2,366kB)pages 21-32
各務学、山下達弥、米村正寿、松井崇行
自己形成光導波路は光ファイバ等からの出射光を用いて光硬化性樹脂中に形成する3次元光導波路である。光の進行方向に沿って形成され、左図に示すように軸ずれ補正も可能であるため光素子の低コスト実装が可能になる。
【日本語関連論文】
・各務学, "光配線を実現する自己形成光導波路技術", 光学, Vol.37 No.2 (2008), pp.94-100. -
pages 33-45
山下達弥、大石泰丈
フッ化物ガラス中のTb3+イオンのレーザ遷移特性を解析し、波長0.54 μm帯用光増幅媒体としての性能を明らかにした。Tb3+イオン添加フッ化物ファイバを用い、波長542.8 nmにおける緑色レーザの連続発振に初めて成功した。
Part II.ハイライト論文
論 文
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pages 47-53
森川健志、鈴木憲一、正木英之、伊藤忠義、北住幸介、高橋直子、青木恒勇、旭良司、大脇健史
窒素ドープ酸化チタン(N-TiO2)光触媒の表面にFe、Cu、Ptを坦持することにより、可視光下における有機物質の分解無害化速度を向上させることに成功した。これらは現在、臭い除去、抗菌、漂白などの機能製品として市場に展開されている。
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pages 55-64
杉浦豪軌、松永継春、水谷義輝、安藤陽星、柏木勇史
トリポード型等速ジョイントに発生するスラスト力を解析するため、針状ころを含む構成部品と接触・摩擦力を詳細に模擬したマルチボディモデル(左図)を構築した。スラスト力波形の特徴が実測値と一致することを確認し、ころの挙動や各部位の摩擦力がスラスト力に及ぼす影響を明示した。
【日本語関連論文】
・杉浦豪軌 他, "マルチボディモデルによるトリポード形等速ジョイントのスラスト力解析", 日本機械学会論文集(C編), Vol.75 No.753 (2009), pp.235-242. -
9. Synthesis of Highly Monodispersed Mesoporous Tin Oxide Spheres
単分散球状酸化スズ多孔体の合成 (707kB)pages 65-72
龍田成人、中村忠司、矢野一久
単分散球状酸化スズ多孔体の合成に、単分散球状メソポーラスシリカから、2ステップのナノ構造転写を用いることで成功した。非常に均一性の高い粒子が得られるため、コロイド結晶の作製も可能で、光閉じ込め効果を利用した高性能の光電変換材料などへの応用が期待される。
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pages 73-84
永岡真、植田玲子、増田糧、Eberhard von Berg、Reinhard Tatschl
ディーゼルエンジンのノズル内流れから噴霧モデルをリンクした一貫計算法による噴霧特性予測手法を開発した。典型的なノズル形状のVCOおよびミニサックノズルに対して噴霧形状、到達距離、噴霧角および粒径分布について検証した結果、実測結果とよい一致を得た。