42巻4号 (2011.12)
特集
分析
Part Ⅰ.特集
特集概要
レビュー
-
pages 1-18
向和彦
リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度・高出力を特徴とする二次電池であり、近年、電気自動車の駆動電源として注目されている。本報告では層状構造を有するLiCo1-xNixO2やスピネル構造を有するLi[LixMn2-x]O4等の各種リチウムイオン電池材料の帯磁率(χ)測定やミュオンスピン回転・緩和(μSR)測定を行い、電気化学特性と磁性との相関性を調べた。その結果、上記測定手法がリチウム電池材料の反応機構の解明や材料開発に極めて有用であることが分かった。
-
3. Ion-conducting Analysis by Quasi-elastic Neutron Scattering
中性子準弾性散乱によるイオン伝導解析(1,257kB)
pages 19-30
野崎洋、蒲沢和也
中性子準弾性散乱法(QENS)により、イオン伝導体のイオン伝導解析を行った。超プロトン伝導体に対するQENS測定の結果、異方的かつ長距離の拡散経路がわかった。 また、Liマンガンスピネルに対するQENS測定の結果、Liの自己拡散係数は、~10-8cm2と見積もられた。
論 文
-
pages 31-37
村瀬篤、森広行、大森俊英
摩擦面のTOF-SIMS分析により、異なる組成のエンジン油間および異なる基材間での添加剤の吸着挙動の違いが明らかになった。さらに、種々のエンジン油と基材の組み合わせにおける摩擦係数の違いの一部は、潤滑添加剤の吸着挙動の違いで説明付けられることが明らかになった。
-
pages 39-45
古賀智之、光岡拓哉、青木良文、青木裕子、須藤栄一、鈴木教友、野中敬正、村瀬篤、吉田貴司、大室渉、吉永文隆、柳本博
シクロオレフィンポリマーフィルム表層はオゾン水処理で酸化され、かつ延性が低下することがわかった。フィルム表層に付与された金属触媒の分布は表面酸化された樹脂表層部分と対応した。更に、金属触媒は改質層に分散しており活性化処理で一部還元されることがわかった。
【日本語関連論文】
・栁本博, 別所毅, "オゾンを用いた新規めっきプロセスの研究", TOYOTA Technical Review, Vol.57, No.1 (2010), pp.93-97.
Part II.ハイライト論文
論 文
-
pages 47-54
目黒淳一、小島祥子、鈴木徳祥、寺本英二
本論文では、ITSへの応用を目指し、都市部環境に適用できる位置推定手法の提案を行った。提案手法では、GPSドップラーとジャイロにより算出した軌跡の形状とGPS擬似距離を最適化することで、位置推定を実施する。本手法では、軌跡形状を活用することで擬似距離精度の信頼度が判定できるため、位置推定精度が向上する特徴を持つ。
【日本語関連論文】
・目黒淳一 他, "GPS 生データを用いた軌跡形状に基づく位置推定手法の提案",第11回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,(2010), pp.2243-2246.
・目黒淳一 他, "GPSドップラーと慣性センサの統合による車両軌跡推定手法",第43回情報処理学会ITS研究会 Vol.2010-ITS-43 No.21 (2010). -
pages 55-65
トウジュシン、岩田靖、北條浩、岩堀弘昭、山下貴、平野春好
アルミニウム合金鋳造時のシェル鋳型の割れ発生メカニズムを解明し、ワイブル統計に基づく割れクライテリオンを提案して、実用シリンダヘッドのジャケット鋳型の割れ予測を可能にした。
-
pages 67-72
原田雅史
光ピンセット技術を応用し、膜の粘度を非破壊で測定できる装置を開発した。3Wet塗装で作製した積層塗膜について、クリア層の粘度を測定した結果、溶媒の層間移行による粘度変化を評価することができた。
【日本語関連論文】
・原田雅史, "光ピンセットを利用したウェット塗膜の粘度測定技術",色材協会誌, Vol.79, No.12 (2006), pp.535-538. -
pages 73-82
稲垣和久、上田松栄、水田準一、中北清己、中山茂樹
ディーゼルエンジンの燃焼特性を再現するため、卓越したエンジンサイクルシミュレーションが開発された。この方法では、多段噴射の噴霧生成過程や、筒内における局所の当量比や温度のような空間的不均質を扱うため、マルチゾーンモデルとPDFモデルを新たに創出した。
【日本語関連論文】
・稲垣和久 他, "サイクルシミュレーションによるディーゼル燃焼の過渡性能予測 (第1報) - マルチゾーンPDFモデルを用いた燃焼予測法の開発",自動車技術会論文集, Vol.38, No.5 (2007), pp.71-76.
・上田松栄 他, "サイクルシミュレーションによるディーゼル燃焼の過渡性能予測 (第2報) - 燃焼モデルを利用した加速時エンジン性能推定",自動車技術会論文集, Vol.38, No.5 (2007), pp.77-82.