44巻1号 (2013.3)
特集
有機材料
Part Ⅰ.特集
特集概要
レビュー
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pages 1-15
渡辺修
アゾポリマーのフィルム上に生体分子のような微小物体を載せ、上部から光を当てることで、フィルムの変形により生体分子を包み込むような状態で固定する技術を新たに見出した。さらに、この技術を新規な抗体チップ、微小球の配列方法へと発展することに成功した。
【日本語関連論文】
・渡辺修, "16章 アゾベンゼンポリマーを用いる光固定",「高分子と光が織りなす新機能・新物性」,(2011), pp.151-157, 化学同人.
・渡辺修, "アゾベンゼンポリマーによる微小物体の配向・配列技術とその応用",応用物理,Vol. 78 (2009), pp. 145-148.
・渡辺修, "14章 アゾポリマー上への微粒子および生体高分子を利用した光変形・光固定とその応用",「新規クロミック材料の最新技術」,(2005), pp.182-196, シーエムシー出版. -
pages 17-26
田中洋充、武市晃洋、塩澤真人、加藤直彦、樋口和夫、土井将一、水元克芳、豊田竜生
色素増感型太陽電池用色素の耐久性を決定する重要な因子である、錯体系及び非錯体系増感色素の化学的安定性と電池耐久性との関係に関する世の中の研究と当社の研究について報告する。
論 文
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pages 27-33
山本智
高分子材料を対象とした計算機シミュレーションの事例を紹介する。分子レベルではCO2含浸による樹脂の可塑化のメカニズム解析、メソスケールでは散逸粒子動力学法(DPD)を用いて紐状ミセル水溶液の緩和および高分子電解質膜の内部構造の解析を行った。さらに、高分子溶液の蒸発過程をDPDにより計算する方法を提案した。 -
pages 35-43
林田研一
表面開始重合を用いてポリメタクリル酸シクロヘキシルをグラフトしたカーボンナノチューブ(CNT)は,従来の高分子/CNT複合材料と比較して極めて高い電気抵抗を示した。これはCNT表面のグラフト鎖によりCNT間距離が大きく保たれた結果である。
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pages 45-52
福森健三、森下卓也、松下光正、片桐好秀
カーボンナノチューブ(CNT)は最高レベルの熱伝導率を有し、CNTの少量添加(1vol%以下)による樹脂の熱伝導率向上が期待できる。本研究では、高熱伝導と高絶縁の両立を可能とする新規CNT分散構造モデルを考案し、それに基づく高熱伝導絶縁樹脂の創製に成功した。