46巻4号 (2015.12)
特集
ナノマテリアル・プロセス
Part Ⅰ.特集
特集概要
論文
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pages 1-9
手塚裕之、名児耶彰洋、旭良司
簡便な溶液プロセスを用いて、グラフェンの切り出しサイズとエッジ構造を同時に制御し、高効率多色発光性を有する窒素官能基化グラフェン量子ドットを作製した。これらを無機ナノ構造体中へ固定化した複合体は、白色LEDの波長変換材料として機能することが分かった。
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pages 11-19
板原浩、オ・ソンヨル、今川晴雄
Si系、シリサイド(Si系金属間化合物)系のナノ材料を簡便に合成できる新規合成手法を開拓した。本法は、層状CaSi2を原料とし、固相反応でCaを引き抜きながら、層状構造を剥離するというメカニズムに基礎をおいている。良好なLi二次電池負極特性を示すCaxSi2/Niシリサイドナノコンポジットのほか、種々の機能性ナノ材料の創製に成功した。
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pages 21-32
石崎敏孝、渡邉亮太
不活性雰囲気でも被膜が熱分解しやすい脂肪酸+アミン被覆Cuナノ粒子と、Niによる接合層の密着性向上と、Ni合金ナノ粒子添加によるCuナノ粒子焼結層の強化により、従来Pbフリーはんだと同様に250℃無加圧でも高い接合強度が得られることを見出した。
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pages 33-40
西哲平、鈴木教友、高橋直子、杉山英彦、矢野一久、東博純
沈殿粉末ターゲットの液中レーザーアブレーションにより均一な銀ナノ粒子が安定に分散したナノコロイドを作製した。また、新規レーザープロセッシングである気-液界面レーザーアブレーションを提案し、均一なPdナノ粒子が分散したナノコロイドの作製に成功した。
Part II.
論文
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pages 41-52
村松潤哉、小島崇、田中宏哉、服部佳晋、岡田啓志、慶野浩規、中西隆、藤﨑敬介
本論文ではマグネットクラッチからのサージ電圧発生メカニズムを明らかにし、それを抑制することができる新たな構造を提案した。まず、サージ現象を精度よく再現できるマグネットクラッチの2次元FEMモデルを作成した。次にこれを用いてサージ電圧を抑制できる新たなマグネットクラッチ構造を考案した。最後に提案構造が、従来の構造に比べサージ電圧を50%以上低減できることを実験で示した。
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pages 53-61
庄司智幸、西田秀一、大西豊和、藤川東馬、野瀬昇、濱田公守、石子雅康
地上に降り注ぐ宇宙線中性子によって、パワーデバイスが偶発故障を引き起こす。素子に印加する電圧がある閾値電圧以上になると、この故障率は急激に増加する。その破壊メカニズムを解明し、素子構造の最適設計で故障率が制御できる事を実証した。
【日本語関連論文】
・西田秀一 他, "HV用パワー半導体の宇宙線影響評価", TOYOTA Technical Review, Vol. 57, No. 2 (2011), pp. 93-98.