炭素繊維(カーボンファイバー:CF)は軽くて強く、耐熱性に優れる先端材料で、さまざまな分野で使われています。現在は高い強度を得るために、ポリアクリロニトリル(PAN)という物質から作る方法が主流です。しかし、この方法には有機溶剤が必要であり、さらに熱に強い構造にするための加熱処理(耐炎化)に多大なエネルギーを使うため、CO2排出量の低減が課題となっていました。
私たちは、有機溶剤の代わりに水を使った重合・紡糸とCFへの変換が可能な水溶性原料「水溶性ポリアクリルアミド(aquaPAM®※1)」を設計し、これを用いた革新的な省エネルギー製造プロセスを実現しました※2 。
この方法は、aquaPAMに少量の触媒を加えることで、耐炎化の時間を約1/6に短縮し、CFへの変換における炭素収率※3も向上します。得られたCFは、強度や弾性率が従来のPANベースのものと同等でありながら、製造時のエネルギーとCO2排出量を大幅に削減できます。
※1 aquaPAMは豊田中央研究所の登録商標です。
※2 トヨタ自動車株式会社との共同開発。
※3 原料の炭素のうちCF中に残った炭素の比率。
aquaPAM®を用いた省エネルギー製造プロセス