本報では,詳細CAEを補完する技術として,ボデー設計者自らが概念設計段階で容易に利用できる新しいCAEであるFirst
Order Analysis (FOA) を提唱する。
このFOAの基本概念は,(1) 手軽で容易に扱える,Microsoft/Excelをフロント・エンドとするグラフィカルなユーザ・インターフェース,(2)
想定する設計の妥当性を簡便に検討するのが目的のため,材料力学的な基礎知識で十分理解できる手法,(3)
新規構造のヒントや補強部材配置に示唆を与える,梁要素を用いたトポロジー最適化機能,の主に3項目から構成されている。
まず,FOAを構成し,Microsoft/Excelをインターフェースとして動作する解析ツールについて述べる。
次に,車両設計の概念設計への適用可能性を示すため,FOAの概念に基づくプログラムのひな形を示し,その有効性を示す。
さらに,有限要素モデルのメッシュデータから,FOAで用いる断面形状を作成する機能を紹介し,力やモーメント分布のみならず,降伏関数値や断面応力分布などが容易に求められることを示す。
最後に,FOAから汎用CAEのマクロ言語を自動生成することで,FOAの容易な操作性を維持したまま,汎用CAEの解析機能が利用可能なことを示す。