42巻1号 (2011.3)
特集
排気浄化触媒
Part Ⅰ.特集
特集概要
レビュー
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pages 1-8
新庄博文
三元触媒の劣化主因である貴金属凝集が進む環境下で、貴金属と触媒担体表面との間に強い相互作用(アンカー効果)を持たせることで凝集が抑制できることを見出すとともに、貴金属ごとに担体を適正化し、貴金属使用量の低減と高い浄化性能を両立する触媒を開発した。
論 文
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pages 9-19
髙橋直樹
1994年に世界初の実用化をみたガソリンリーンバーンエンジン用NOx吸蔵還元型触媒の実用化に対して、豊田中央研究所では開発当初から、トヨタグループでの研究開発に携わってきた。この総説では、この触媒のNOx浄化反応機構および耐久性能向上に関する研究内容を解説する。
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pages 21-32
岩崎正興
NH3によるNOx選択還元(SCR)において、Fe/ゼオライトおよびSCR反応の解析を実施した。前者ではFeの担持法や担持量およびゼオライトの構造やSi/Al2比の影響を調べ、後者ではNO2の吸着脱離挙動、SCRの素反応および総括反応を解析した。
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pages 33-42
山内崇史、久保修一、水上友人、佐藤伸、青野紀彦
近年機能分離された多機能触媒が主流となりつつあるが触媒構成の複雑化に伴い、その設計工数削減が大きな課題となっている。触媒層内ガス拡散や貴金属触媒表面素反応過程等の触媒の本質を捉えたアプローチによって実用的な多機能触媒開発へも適用可能なシミュレーション技術を構築した。
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pages 43-50
長井康貴
自動車排気浄化に用いられるPt/セリア系触媒において、粒成長したPt粒子が、酸化および還元が繰り返される雰囲気中で、微細粒子に再分散する現象をin-situ時分割X線吸収分光法を用いて見出した。
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pages 51-62
渡邊佳英、磯村典武、平田裕人、Xingyang Wu
排ガス触媒の使用条件に近い圧力下において、TiO2(110)表面上に堆積したPtn (n=4, 7?10, 15) クラスタの触媒特性を調べ、クラスタサイズ特異性を示すことを確認した。また、7量体以下のPtクラスタは平面構造をとり、8量体で平面構造から3次元構造に転移することを見出した。
Part II.ハイライト論文
レビュー
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8. Luminescent Periodic Mesoporous Organosilicas
蛍光性有機基を導入したメソポーラス有機シリカ (480kB)pages 63-69
谷孝夫、溝下倫大、稲垣伸二
当社が世界に先駆け合成に成功したメソポーラス有機シリカ(PMO)は、有機基の設計により多様な機能を細孔骨格に付与することが可能である。ここでは、様々な応用展開が期待される蛍光性有機基を導入したPMOの合成と発光特性について、最近の研究動向を解説する。
論 文
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pages 71-81
神保智彦、早川義一
本論文では、多機能化するエンジン統合制御設計のためのモデリングの理論的基礎を確立した。具体的には、周期離散事象駆動の物理モデルを近似解析的に離散化する手法、および、役割変数という新しい概念によるエンジンの周期性を利用した時不変系への状態変換を提案している。最適制御設計が容易に可能となる。
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pages 83-89
石田亘広、鈴木登美子、大西徹
ポリD-乳酸は、ポリL-乳酸との混合によって、ステレオコンプレックスを形成し、ポリ乳酸の耐熱性を向上させる効果がある。そこで本研究では、代謝改変させた酵母を開発し、モノマー原料となる高純度D-乳酸を、高効率で生産することに成功した。
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11. Reactively Steered Ring Antenna Array for Automotive Application
可変リアクタンス装荷車載ビーム走査アンテナ(511kB)pages 91-98
杉浦慎哉、飯塚英男
本論文では,ドライバーの視界を遮ることなくフロントガラス上に構成可能な平面スマートアンテナを提案する。提案のアンテナは,オーバラップする三つのリングアンテナ素子によって構成され,その指向性はアンテナ上に構成される可変リアクタンス回路の値を変化させることにより制御される。