機械学習に物理的な法則や制約を事前知識として組み込んだモデルを構築することで、複雑な自然現象を数理的にモデル化する研究を進めています。
その一つの応用として、気候予測情報の詳細化に取り組みました。今後の気候変動への対応のためには、将来の気候を正確かつ長期にわたり予測することが必要です。そのためには、気候情報の空間解像度は、少なくとも数km四方程度が必要なのですが、地球規模の気候の数値シミュレーションは、100km四方程度が多いのが現状です。
そこで当社と国立環境研究所の研究チームは、統計力学的な機械学習を用いて気候予測情報を詳細化するダウンスケーリング手法「πSRGAN」を開発しました。気候学的に相関が高いと考えられる海面校正気圧や地形などの補助情報を機械学習に組み込むことで、精度を向上させました。
その結果、100km四方程度の予測情報から、数km四方程度の詳細情報を得ることが可能となりました。さらに実データによる検証により、気温や降水量の局所的な統計量に加えて、離れた地点間の気候現象の関係を高速かつ詳細に予測できることを示しました。
関連技術は、気候情報のダウンスケーリングの他、 粉体や複雑流体の挙動など機構解明が難しい現象の理解・制御への応用が期待されます。