当社の論文がJournal of Colloid and Interface Science に掲載
当社の橋本俊輔らがJ-PARCならびにCROSSと共同で行った「ナノ粒子分散流体における熱伝導率向上とそのメカニズム解明」に関する論文が Journal of Colloid and Interface Science に掲載されました。
電動化車両では、冷却水の温度低下により放熱能力が下がるため、冷却水の熱伝導率向上が不可欠です。我々は、ナノメートルオーダーの粒子を液体に数%程度分散させるだけで、熱伝導率が理論値よりも向上するという現象に着目しました。しかし、そのメカニズムについては未解明であり、これまでは、固体ナノ粒子の表面と液体との間の熱抵抗が熱伝導率に影響しているのでは、と考えられていました。本論文では、中性子の準弾性散乱や小角散乱、X線の広角散乱、さらにはラマン分光分析を利用して、ナノ流体中における粒子周囲の液体分子の並進や回転、振動の運動を解析しました。その結果、ナノ粒子の存在によって液体分子の振動状態が変化し、液体がまるで固体のようにふるまうことで熱伝導率が向上するということを初めて明らかにしました。本論文の成果は、電気自動車や燃料電池用の冷却液における熱伝導率向上技術への応用が期待できます。
タイトル: Anomalous Behavior of Liquid Molecules Near Solid Nanoparticles: Novel Interpretation on Thermal Conductivity Enhancement in Nanofluids
著者: Hashimoto, S., Yamaguchi, S., Harada, M., Nakajima, K., Kikuchi, T., Ohishi, K.
掲載誌: Journal of Colloid and Interface Science
掲載日: 2023年2月3日
https://doi.org/10.1016/j.jcis.2023.01.101