当社の論文がJournal of Power Sourcesに掲載

当社の鈴村彰敏らが行った「電解液の自律探索システム」に関する論文が、Journal of Power Sourcesに掲載されました。

リチウムイオン電池の性能向上に向けて電解液の探索を行っています。材料の最適混合比を見出す上で、まずプロセスを自動化することで実験速度と再現性を高め、さらに最適化アルゴリズムを導入することで自律的に目的の物性値を実現する組成を見出すことが可能になります。本論文では、電解液の混合とイオン伝導度測定を自動化することで人手より10倍早く実験を行い、独自に開発した最適化アルゴリズムと組み合わせて、４種の電解液の混合比でイオン伝導度が最大となる比率の探索を行いました。その結果、主溶媒に対して数%の第２溶媒の添加でイオン伝導度が高くなることが検知され、手動での確認実験でも同様の傾向が認められました。さらに探索結果を参考にして分子動力学法により電解液のシミュレーションを行ったところ、少量の第２溶媒添加でもリチウムイオン周辺が変化(溶媒和半径が小さくなる)し、リチウムイオンがより動きやすくなっていることが示唆されました。実験の自動化及び自律化により人の工数削減や実験のリモート化の促進が可能になります。

タイトル：Finding a Novel Electrolyte Solution of Lithium-ion Batteries Using an Autonomous Search System Based on Ensemble Optimization
著者：Suzumura, A., Ohno, H., Kikkawa, N., Takechi, K.
掲載誌：Journal of Power Sources
掲載日：2022年6月4日
https://doi.org/10.1016/j.jpowsour.2022.231698