電気自動車はCO2削減に常に貢献するか
当社の片岡良介らが東京大学生産技術研究所エネルギーシステムインテグレーション社会連携研究部門と共同で行った研究が Transportation Research Part-D: Transport and Environment に掲載されました。
バッテリー電気自動車(BEV)はカーボンニュートラル社会の実現に向けて不可欠な要素です。しかし、BEVのCO2排出量は使用する電力の生産過程に依存するため、火力発電と再生可能エネルギーの混在する電力システムにおいて、BEVがどれほど脱炭素に貢献するか評価するのは困難でした。
本研究では、2030年の日本の電力システムをモデル化し、BEVが環境に与える影響を評価しました。その結果、BEVの充電が石炭火力発電の焚き増しを引き起こす場合、BEV1台当たりのCO2排出量は、2030年の標準的なガソリン車を上回る可能性があることが示されました。一方、BEVと電力システムが協調し、再生可能エネルギーの利用が促進される場合はCO2排出量が削減できることが分かりました。BEVと電力システムの協調が脱炭素に重要であることを示した本研究は、BEVの普及を目指す国々がエネルギー政策を立案する上で、有益な洞察を提供します。
タイトル: Does BEV Always Help to Reduce CO2 Emission? Impact of Charging Strategy
著者: Kataoka, R., Ogimoto, K., Iwafune, Y., Nishi, T.
掲載誌: Transportation Research Part D: Transport and Environment
掲載日: 2024年4月1日
https://doi.org/10.1016/j.trd.2024.104124