チューリング・パターンでソフトロボットの設計と製造を効率化
当社の田中真人らが Toyota Research Institute of North America (TRINA) と共同で行った研究が Scientific Reports に掲載されました。本研究はトヨタ自動車株式会社未来創生センターの協力を得て実施されました。
柔軟で軽量な材料で構成されるソフトロボットは、人と同じ作業空間内で安全に作業できる協働ロボットとしての活用が期待されています。特に、布製ソフト空気圧アクチュエータ(Fabric-based Soft Pneumatic Actuator, FSPA)は、製造や駆動が容易であることからソフトロボットの部品として広く利用されています。FSPAは、外皮に布パッチを貼って部分的に剛性を変えることで、空気圧をかけたときに布パッチの模様に応じて様々な形状に変形しますが、思い通りに変形させるための模様の設計には多くの試行錯誤を伴っていました。
本研究では、模様の設計にチューリング・パターンの形態生成理論を用いた新しい最適設計手法を提案し、さらに、最適化された布パッチの模様を熱接着や刺繍技術を用いてスケーラブルかつ低コストに製造する方法を提案しました。解の探索手法の一つである勾配法をベースとした効率的な最適化手法を用いることで、設計プロセスを自動化し、試行錯誤に依存する必要性を軽減しました。これらのデザインは、従来のシンプルな模様を持ったモデルよりも、少ない空気圧で効率的に駆動することが確認されました。本研究成果はFSPAの効率的な設計を通じ、ソフトロボットの開発に貢献することが期待されます。
本研究はScience X社が運営する技術メディア「Tech Xplore」で紹介されました。
https://techxplore.com/news/2024-09-turing-patterns-soft-pneumatic-technology.html
【関連記事】
チューリング・パターンを用いた設計アルゴリズムによってソフトロボット試作に成功
タイトル: Fabric Soft Pneumatic Actuators with Programmable Turing Pattern Textures
著者: Tanaka, M., Song, Y., Nomura, T.
掲載誌: Scientific Reports
掲載日: 2024年8月19日
https://doi.org/10.1038/s41598-024-69450-z