リチウムイオン二次電池の不活性化技術を開発
～リサイクル時の発熱等のリスク低減に貢献する新手法～
株式会社 豊田中央研究所は、リチウムイオン二次電池（Lithium-ion Battery、以下LiB）のリサイクル時のリスクを低減する、新たな電池不活性化技術「iSleepTM」を開発しました。廃棄LiB内へレドックスシャトル※1剤（以下、RS剤）を添加し、残存電圧を0V近くまで放電させる技術で、LiBの解体・破砕時における発熱等のリスク低減に貢献します。
この研究成果は、Springer-Natureの論文誌「Scientific Reports」に2024年2月11日付でオンライン掲載されました。リリース本文は、こちらをご覧ください。
【研究のポイント】
◆LiBの解体・破砕を伴うリサイクルでは、LiBの残存電圧の放電や析出したリチウム（以下、Li）金属の除去といった電池不活性化の前処理が必要
◆正極と負極を電気化学的に内部短絡させることで、残存電圧を0V近くまで放電するとともに、析出したLi金属も溶解させるRS剤を発見
◆LiBリサイクル時のリスク低減により、資源の有効活用や製造時の環境負荷低減に貢献
※1レドックスシャトル:電池内部に存在する酸化還元種（本研究ではフェノチアジン）が正極と負極の間で酸化と還元を繰り返すこと。
【論文情報】
タイトル: Battery Deactivation with Redox Shuttles for Safe and Efficient Recycling
著者: 三木田梨歩*1 、鈴村彰敏*1 、近藤広規*1
*1: 豊田中央研究所
掲載誌: Scientific Reports
掲載日: 2024年2月11日（オンライン版）
DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-024-53895-3