当社の論文がApplied Catalysis B: Environmentalに掲載
当社の鈴木登美子らが東京理科大学と共同で行った「光触媒粒子の水中懸濁方式による人工光合成の実現」に関する論文が、Applied Catalysis B: Environmentalに掲載されました。
太陽光と水と二酸化炭素(CO2)から炭素化合物を合成する人工光合成の研究分野において、光触媒粒子を水中に分散する方式は、システムの低コスト化を可能にする技術と位置付けられています。本論文では、2種類の半導体光触媒粒子と1種類の金属錯体を水溶液中に投げ込むというシンプルな方式で、植物と同様な2段階光励起(Zスキーム)機構で動作する、人工光合成システムを実現しました。この系では、新開発の水溶性の金属錯体分子が、2種類の光触媒粒子の間の電子伝達とCO2還元触媒という2つの機能を担います。その結果、可視光でのCO2の還元反応と水の酸化反応が、水中でも自発的に連結し動作します。水中での水素発生が大幅に抑制される結果、水中懸濁(けんだく)方式としては世界トップのCO2選択率(98%)かつ反応速度(従来比10倍以上)でのCO2からCOへの変換を実現しました。本成果は、将来のカーボンニュートラル社会の実現への貢献が期待されます。
タイトル:Photocatalytic CO2 Reduction by a Z-scheme Mechanism in an Aqueous Suspension of Particulate (CuGa)0.3Zn1.4S2, BiVO4 and a Co Complex Operating Dual-functionally as an Electron Mediator and as a Cocatalyst
著者:Suzuki, TM., Yoshino, S., Sekizawa, K., Yamaguchi, Y., Kudo, A., Morikawa, T.
掲載誌:Applied Catalysis B: Environmental
掲載日:2022年6月8日
https://doi.org/10.1016/j.apcatb.2022.121600