コア技術領域

CORE TECHNOLOGY

情報・数理

将来のモノづくりやコトづくりを支える情報処理・数理工学に関する研究や、人々の暮らしを支え生活空間に溶け込む知能化技術に取り組んでいます。私たちは人と協調するAIやロボティクス、自然現象や生活行動などから新たな価値を生み出すためのデータ解析や、材料開発のスピードを飛躍的に加速させるマテリアルズインフォマティクスなどの研究開発を行っています。また、さまざまな現象に内在する法則性や因果関係などをモデル化する数理モデリング研究や、次世代の計算基盤として期待されている量子コンピューティングなどへの取り組みを通して、ますます複雑化、多様化する社会課題の解決に貢献していきます。

コア技術

量子情報処理,知能ロボティクス,計算科学,数理物理/物性基礎科学,数理情報学,交通工学

量子コンピューティング

エネルギー効率の高い移動を実現するための都市全体の交通流の制御や、軽量でも強度の高い車両・部品の構造設計など、従来の計算機では膨大な計算時間を要するため実用化が困難であった大規模な最適化・設計問題において量子コンピュータの活用が期待されています。モビリティ分野における活用の一例として、信号制御の最適化問題をイジングモデルによるエネルギー最小化問題に帰着することで、広域道路網を模した2500基の信号制御を量子コンピュータによって高速かつ高効率に計算できることを示しました。私たちは将来のモノづくりや社会課題解決を目指した応用研究と基盤アルゴリズム構築の両面から量子コンピュータを活用した取り組みを行っています。

イジングモデル(量子アルゴリズム)による信号制御の最適化

4Dトポロジー最適化

トポロジー最適化は、剛性や重量などの設計目標に対して、構造物の最適な形状や配置を数理的に導き出す技術です。当社はトポロジー最適化を、様々な設計問題に適用するとともに手法の改良に取り組んできました。
通常のトポロジー最適化は、物体の形状など三次元の構造を最適化するものですが、4Dトポロジー最適化では、時間の経過に伴う形状の変化も考慮することで、物体がどのように動くかを含めた最適化をも実現しました。
この一例として、ゴムのような柔らかい素材で作られたソフトロボットの設計問題へ応用しました。ソフトロボットは、衝突時の安全性や環境への適応力の高さから注目されていますが、挙動の予測が難しいため、その設計には多くの試行錯誤が必要でした。この課題に対し、4Dトポロジー最適化を適用することで、アクチュエータの配置や挙動の時間変化を同時に考慮した設計が可能になりました。
さらに、ロボットが生物のように移動、回転、姿勢の制御を行うための、胴体や脚のような複雑な構造が創発的に設計可能なことを示すとともに、空気圧で動くソフトロボットを試作し、実際に機能することを確認しました。
この技術は、ソフトロボットの他、折り畳み・展開により大きさが変化する構造物や、時間の経過とともに形状を変化させることで負担を軽減するシートの設計など、さまざまな応用が期待されます。

4Dトポロジー最適化(かたちと動きの同時最適化)によるシミュレーションの例

物理情報に基づく機械学習

機械学習に物理的な法則や制約を事前知識として組み込んだモデルを構築することで、複雑な自然現象を数理的にモデル化する研究を進めています。
その一つの応用として、気候予測情報の詳細化に取り組みました。今後の気候変動への対応のためには、将来の気候を正確かつ長期にわたり予測することが必要です。そのためには、気候情報の空間解像度は、少なくとも数km四方程度が必要なのですが、地球規模の気候の数値シミュレーションは、100km四方程度が多いのが現状です。
そこで当社と国立環境研究所の研究チームは、統計力学的な機械学習を用いて気候予測情報を詳細化するダウンスケーリング手法「πSRGAN」を開発しました。気候学的に相関が高いと考えられる海面校正気圧や地形などの補助情報を機械学習に組み込むことで、精度を向上させました。
その結果、100km四方程度の予測情報から、数km四方程度の詳細情報を得ることが可能となりました。さらに実データによる検証により、気温や降水量の局所的な統計量に加えて、離れた地点間の気候現象の関係を高速かつ詳細に予測できることを示しました。
関連技術は、気候情報のダウンスケーリングの他、 粉体や複雑流体の挙動など機構解明が難しい現象の理解・制御への応用が期待されます。

知能化ロボティクス

生産効率の向上や、複雑な環境・タスク下においても頑健に稼働できるロボットシステムの実現に向け、複数ロボットの協調による知能化技術の構築を目指しています。その一つの取り組みとして、施設内におけるロボット群やセンサネットワークから得られる大量の画像データを無駄なく活用するために、従来困難とされてきた異種ロボット間において訓練データを効率よく共有する学習アルゴリズムを考案しました。3自由度の移動ロボットが収集した画像データをデータ拡張することで、6自由度のアームロボットにおける制御モデルの訓練データとして転移学習し、マニピュレーションタスクを実行できることを実証しました。これによりロボット制御に用いる深層学習の訓練コストを大幅に削減することが期待されます。

データ拡張による異種ロボット間における制御モデルの転移学習

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PROJECT

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