PRESENTATION

未来の技術者へつなぐ「知の襷」

書籍出版

旭良司/中北清己

トヨタグループの未来を先端研究でリーディング。そのためには実際の経験と、常に外を見て最新の知識を取り入れる努力、その両方が不可欠です。
今、私たちが持つ知識は先人からの偉大なる「知の襷」。研究者の一人として、その襷を書籍という形で未来に伝えることも使命と考えます。 

01 材料シミュレーション技術を解説

『Multiscale Simulations for Electrochemical Devices』
旭良司 OB 現 名古屋大学教授 編

当社が培ってきたマルチスケールの材料シミュレーション技術を紹介しています。
特徴として、リチウム電池、燃料電池、人工光合成といった電気化学デバイスが直面する不可解な現象や複雑な最適化問題に対して、いかに問題の本質を捉え、計算手法を選択または開発し、モデリングに落とし込むかに主眼を置いています。
電気化学デバイスの研究開発に携わっている方はもちろん、将来この分野を目指す大学院生にもぜひ読んでいただきたいと思います。

Jenny Stanford Publishing
2020年

協力の末に手にした大きな喜び。大学や企業からも反響

2014年の国際会議で招待講演をした後、出版社から本を書きませんかとメールをいただきました。折角の機会なので、長年培ってきた技術と実績を紹介できるものにしたいと考え、関係者に声をかけました。躊躇するメンバーもいましたが、励まして完成にこぎつけ、想像以上に立派な本を手にした時の喜びは大きかったです。
外部の方から、いくつか反応をいただいています。例えば、「これは凄い、電池系の理論計算の集大成ですね!(中略)ここに書かれている手法の多くを開発に活用しています。」と言っていただきました。このような反響は素直にうれしいですね。出版して良かったと思います。

旭良司
【後列左から】
金城友之、山川俊輔、兒玉健作、工藤憲治
【中列左から】
馬場直樹、鈴木孝尚
【前列左から】
三輪和利、陣内亮典、大庭伸子、宮本開任

02 理論と実際を平易に解説する教科書

『ディーゼル燃焼とは何だろうか その実際と進化した今』
中北清己 OB 元シニアフェロー

ディーゼル燃焼システムは複数の学問領域に跨る複雑な系であり、理論と実際の両面で深く理解するには多くの時間と経験を要します。本書はディーゼルエンジンの特に燃焼システムに関し、基礎から実際まで平易に解説したものです。また約30年間の技術進化の過程、エンジン特性と燃焼システムとの関わりを解説しています。エンジンの技術者にとどまらず、学生やエンジンに興味のある人にも広く読んでもらえる内容になっています。

丸善プラネット
2018年

若者に自らの知見をつなげるため、安価にこだわった

定年退職直前に所長から「自分の専門分野に関する書を出版すべきだ」と指摘されました。長年にわたり蓄積してきた知見を自身とともに消失させることに問題意識を抱いていましたので、自ら企図しなかった志の低さを反省し、一念発起して出版する決意をした次第です。実は本の販価設定に関して、当初、出版社と私とでは考えが異なりました。出版社は「大判で総カラー図の専門書であり高販価が適切」という見解でした。しかし私は、若手技術者の一助になることを意図しているため、より低販価で出版することを希望し、結果として現在の販価となりました。後日、学会で若い研究者が「本を買いました。分かりやすく参考になります」と声をかけてくれた際には、苦労が報われる思いでした。
なお、春には中国語版が出版されます。

中北清己
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