コア技術領域

CORE TECHNOLOGY

材料

次世代の自動車やエネルギーシステムに求められる環境性能や経済合理性など、ますます高度化する社会的要請に対してブレークスルーを生み出す材料の研究開発に取り組んでいます。エネルギー貯蔵・変換材料の創成においては、ナノ界面の反応設計・反応制御技術の他、 X 線や光、量子ビームなどを用いてマルチスケールで材料構造や反応プロセスの解析・現象解明を行う技術の研究開発を進めています。また微細加工技術や、材料プロセスと成形が一体化した積層造形などの製造技術、計算科学に基づいた原子・分子レベルでの材料設計、及びその合成を可能とするプロセス開発などにも取り組んでいます。加えて材料開発の効率を飛躍的に向上させるためマテリアルズインフォマティクスや自律自動実験など計算機科学との融合研究にも精力的に取り組んでいます。

コア技術

ナノ材料科学,数理物理・物性基礎科学,金属材料物性,無機・錯体化学,エネルギー化学,反応工学/プロセスシステム工学,触媒プロセス/資源化学プロセス,分析化学,量子ビーム科学,環境材料/リサイクル技術

量子ビーム解析

原子スケールでの現象解明や、部品の内部状態や劣化の実測のため、大型放射光施設SPring-8や大強度陽子加速器施設J-PARCなど最先端の量子ビーム施設とも連携し、より精密に部品のままでも解析できる技術の構築に取り組んでいます。
SPring-8豊田ビームライン(BL33XU)では、強力なX線を用いて材料の化学状態や結晶構造などの解析を行っています。一例として、材料を構成する結晶粒の内部応力を、3次元分布として実測することに世界で初めて成功しました(詳細はこちら)。
J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)では、中性子線を用いて部品内部の水や有機物の状態や挙動の解析を行っています。一例として、エネルギー分析型中性子イメージング装置「RADEN」を用い、車載用燃料電池内部の水の動きや凍る過程を、発電下で観察することに成功しました(水の動きの詳細はこちら凍る過程の詳細はこちら)。
これらの分析技術は、自動車用部品の性能向上や信頼性評価だけでなく、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーといった社会課題解決への応用も期待されます。

データ駆動型材料設計・シミュレーション

スケールを横断したさまざまな特性を満たすプロセスの設計や新しいエネルギー貯蔵・変換材料の開発などにおいて、実験科学の手法に加えて、計算化学やデータ科学、自律実験系などを融合させた次世代の材料開発手法の構築が求められています。しかしながら、第一原理計算などを用いた物質・材料シミュレーションは実効的な時空間スケールの計算を実行するには膨大な時間を要するという課題がありました。私たちはさまざまな材料の原子間相互作用を機械学習力場で表現し、計算機が判別した未知の構造に対してのみ、第一原理計算によって新たに取得した訓練データを用いて相互作用モデルを再構築する自律的な学習アルゴリズムを考案しました。その結果、従来と比較して計算速度を2~4桁ほど向上させることが可能となりました。これを触媒活性や電解液のイオン伝導率などの計算に適用し、実験との連携をはかることで材料設計を加速させていきます。

シミュレーション中に自ら学ぶデータ駆動化学計算技術

原子レベルの構造制御技術

原子レベルで物質の構造を制御することにより、従来にはなかった新しい特性を持つ材料を実現することができます。その一つとして、産出量が少ない貴重な金属を、安定供給可能な金属に代替するために、その構造制御により必要な機能を向上させる研究に取り組んでいます。
この例として、高性能なリチウムイオン二次電池(LiB) の正極材料に広く用いられているコバルトとニッケルの代替を検討しました。供給が安定しているリチウムマンガン酸化物を対象に、非金属元素のホウ素やリンを結晶格子間のすき間に導入する方法により、コバルトやニッケルを使わなくても長寿命化と高容量化の効果があらわれることを試験電池にて実証しました。
さらに正極材料はマンガン系金属元素のみで構成されるため、リサイクルしやすい特長もあわせ持つ高性能LiBの実現が期待されます。
この技術は、二次電池のほか、触媒材料やエネルギー創生などへの応用が期待されます。

ナノ界面反応設計・反応制御技術

効率の高いエネルギー変換材料の創成や異種材料・異種物質の接着接合などへの応用を目指し、物質の界面や表面で生じる反応の制御や、物質構造の設計、反応場の解析などさまざまな要素技術の開発に取り組んでいます。その一例として、私たちはナノ粒子の高い活性に着目し、ナノ粒子を電解紡糸の表面上にスパッタリングすることで、直径1~3 nmのルチル型IrO2結晶クラスターを結晶ドメイン境界で連結した自立型の担体レス繊維触媒として形成する手法を確立しました(NUNO; Nano particles United Non-woven-Object)。粒子間に間隙が形成されることで広い触媒反応面を有することから、材料の使用量を抑えながら高い活性をもつ水電解触媒などへの応用が期待されます。

Reproduced from J. Mater. Chem. A, 2020, 8, 25061(DOI: 10.1039/d0ta07707k) with permission from the Royal Society of Chemistry.

試作したナノ構造触媒材料のSEM画像
(粒子間に生じる間隙により広表面積化を実現)

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