当社の論文がApplied Catalysis B: Environmentalに掲載
当社の東相吾らが行った「酸化イリジウムナノ粒子連結不織布による水電解システム」 に関する研究がApplied Catalysis B: Environmentalに掲載されました。
水素社会の実現に向けて、大量の水素を低コストかつ低環境負荷で製造する技術が求められています。こうした中、電気と純水から水素を生成する固体高分子型水電解システムが有望視されていますが、資源の有効活用の観点からは、触媒に使われる貴金属(酸化イリジウムナノ粒子)の使用量を低減することが望まれます。しかし触媒量を極端に少なくするとナノ粒子が凝集して電気的に孤立してしまい、触媒として機能しなくなるという問題がありました。
これまではナノ粒子分散液を塗り拡げて乾燥させることで触媒層を得る手法が一般的でしたが、本研究ではあらかじめナノ粒子が繋がった超軽量の酸化イリジウムナノ粒子連結不織布をつくり、これをそのまま触媒層として利用するという全く新しいアプローチを適用しました。その結果、触媒量を劇的に少なくしても高性能な水電解触媒として長時間機能することを確認しました。
本プロセスは、触媒量削減による低コスト化が期待されることと、完全な乾式プロセスであるため廃液が出ず環境負荷が低いことが特徴です。今後、より大きなスケールでの適用や、その他の電気化学エネルギー変換システムへの応用が期待されます。
タイトル: Ultralight Conductive IrO2 Nanostructured Textile Enables Highly Efficient Hydrogen and Oxygen Evolution Reaction: Importance of Catalyst Layer Sheet Resistance
著者: Higashi, S., Beniya, A.
掲載誌: Applied Catalysis B: Environmental
掲載日: 2022年10月4日
https://doi.org/10.1016/j.apcatb.2022.122030