外気温に合わせて太陽光の吸収量を自律制御する機能性材料
当社の平井隆行、釘本恒らが行った研究が ACS Applied Materials & Interfaces に掲載されました。
サステナブルな社会を実現するため、空調エネルギー削減に貢献する熱制御材料は非常に重要な技術です。太陽光を吸収して発熱するこれまでの黒色材料は、冬の暖房エネルギーを削減するには有効ですが、夏の冷房エネルギーの増加につながるという課題がありました。そのため、外気温の変化に合わせて、自律的に太陽光の吸収率を変えることのできる材料が求められています。
本研究では、温度が低い状態では太陽光を吸収し、温度が高い状態では太陽光を反射するというように、光学物性が自律的に変化するポリマー複合材料の作製に成功しました。これにより、外気温に合わせて太陽光吸収による発熱量を制御することが可能となり、屋根の建材などに適用することで空調エネルギーの削減に貢献すると考えられます。さらに、原料を加熱・混合するだけというシンプルな工程であるため、量産性の面でもメリットがあると期待されます。
タイトル: Scalable Thermochromic Composite Based on a Ternary Polymer Blend for Temperature-Adaptive Solar Heat Management
著者: Hirai, T., Kugimoto, K., Oyama, S., Takeda, Y.
掲載誌: ACS Applied Materials & Interfaces
掲載日: 2023年4月6日
https://doi.org/10.1021/acsami.3c00397