食べ物のにおいを嗅ぎ分ける脳部位を特定
当社の岡 和らが行った研究が Frontiers in Neuroscience に掲載されました。
食べ物のにおいは、食欲や摂食行動に強く影響することが知られています。このことから明らかなように、ヒトを含む多くの動物種にとって、食べ物のにおいは特別な意味を持ちます。しかしながら、食べ物のにおいが脳内でどのように処理されて、他のにおいとは異なる反応を引き起こすのか、そのメカニズムは解明されていません。本研究では、過去の嗅覚ニューロイメージング研究を統計的な手続きに則って再解析(メタアナリシス)することで、食べ物のにおいの処理を担っている脳部位の特定を目指しました。その結果、被殻と呼ばれる大脳基底核の一部が、食べ物のにおいに選択的に反応する脳部位であることがわかりました。被殻は感覚野と運動野をつなぐ位置にあることから、その活性化には食べ物のにおいによって特定の行動(例えば接近行動など)をガイドする働きがあると解釈できます。嗅覚メカニズムの理解により、香りのデザインやヘルスケアといった分野への貢献が期待されます。
タイトル: The Neural Substrates Responsible for Food Odor Processing: An Activation Likelihood Estimation Meta-analysis
著者: Oka, N., Iwai, K., Sakai, H.
掲載誌: Frontiers in Neuroscience
掲載日: 2023年6月23日
https://doi.org/10.3389/fnins.2023.1191617