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揺れが人の脳と心肺系に及ぼす影響を可視化

当社の岩本正実らが東京大学 次世代知能科学研究センター 國吉康夫教授らと共同で行った研究が Scientific Reports に掲載されました。

ロッキングチェアのようなゆらゆらとした動きは人の眠りを誘発しますが、地震のような突然の激しい揺れは急な覚醒を促します。このように、身体が外部から振動を受けるときに覚醒度が変化するメカニズムは未解明です。
脳内において覚醒度を制御している青斑核は、呼吸系と関係があると言われています。本論文では、その関係を計算機上で再現するために、青斑核と心肺系との連成計算モデルを構築しました。身体への正弦波振動が青斑核の神経活動と同期することに着目して、さまざまな振動を与えることにより青斑核と心肺系の活動変化を可視化しました。その結果、特に大きな振動の場合に発生する、青斑核の活動と呼吸の同期現象が心拍数を正常値に保つことを明らかにしました。またその中で、低周波振動では呼吸数を増やし覚醒度を高め、高周波振動では呼吸数を減らし覚醒度を下げることが分かりました。このことから、大きな振動から身体リスクを回避する行動がとれるように、同期現象が心肺機能を自律的に調整する、という仮説を得ました。本技術は、身体への振動が人の健康や行動に及ぼす影響を調査するために有用であると考えられます。

タイトル: Respiratory Entrainment of the Locus Coeruleus Modulates Arousal Level to Avoid Physical Risks from External Vibration
著者: Iwamoto, M., Yonekura, S., Atsumi, N., Hirabayashi, S., Kanazawa, H., Kuniyoshi, Y.
掲載誌: Scientific Reports
掲載日: 2023年5月1日
https://doi.org/10.1038/s41598-023-32995-6

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