ソフトロボットの構造と動きを同時に設計する、あらたな数理最適化法
当社の尹彰永らが行った研究が Computer Methods in Applied Mechanics and Engineering に掲載されました。
近年、ゴムなど柔らかい素材でできたソフトロボットが、その触り心地や周りの環境へのなじみやすさ、などから注目を集めています。物体の最適な構造を、設計者の固定概念にとらわれることなく、純粋に数理的なアプローチで生成する手法として、トポロジー最適化が試みられています。しかし、柔軟かつ能動的に動く物体の設計に適用するには、シミュレーションの面で課題があり、特に物体の構造と動きを同時に最適化することが困難でした。本研究では、構造と動きを同時に最適化する手法として「4Dトポロジー最適化」を提案しました。構造、アクチュエータ配置、そしてアクチュエーションの時間変化を、空間(3次元)および時間(1次元)の設計領域内の密度として表現して最適化します。今回提案した手法により、胴体や脚のような複雑な構造を巧みに動かして、生き物のように移動、回転、姿勢制御するソフトロボットを創造できることを実証しました。この成果は、空気圧や磁場、筋細胞などで駆動するソフトロボットの設計につながり、医療や産業の現場への応用が期待されます。
タイトル: 4D Topology Optimization: Integrated Optimization of the Structure and Self-actuation of Soft Bodies for Dynamic Motions
著者: Yuhn, C., Sato, Y., Kobayashi, H., Kawamoto, A., Nomura, T.
掲載誌: Computer Methods in Applied Mechanics and Engineering
掲載日: 2023年6月28日
https://doi.org/10.1016/j.cma.2023.116187