低濃度CO2を高効率で回収する新たな錯体材料
当社の村瀬雅和らが行った研究がChemSusChemに掲載されました。
地球温暖化への対策として、大気中のCO2を分離回収して、資源として有効活用する取り組みが注目されています。CO2の分離回収に使われるCO2吸収物質には、アミン系化合物やゼオライトなど多様な化合物が検討されています。本研究では、より優れたCO2吸収物質の創製に向けて、炭酸脱水酵素の機能に着想を得た三核亜鉛錯体(Zn3L)を新たに合成しました。Zn3L含有溶液は同濃度のアルカリ水溶液と比べてCO2吸収反応が速いということ、そして必要に応じて放出反応も可能であることを示しました。加えて、実験用に制御されたCO2環境だけでなく、実際の大気中の希薄なCO2に対しても優れた回収性能を示しました。これらの反応時における錯体の構造状態は、大型放射光施設SPring-8内に設置した当社独自の豊田ビームラインを使って解析されました。
タイトル: Reversible CO2 Fixation and Release by a Trinuclear Zn(II) Cryptate Complex and Operando Analysis of the Complex Structure
著者: Murase, M., Maegawa, Y., Ohashi, M., Goto, Y., Sakamoto, N., Nonaka, T., Uyama, T., Arai, T.
掲載誌: ChemSusChem
掲載日: 2023年7月20日
https://doi.org/10.1002/cssc.202300679