水素製造の効率化に向けた水電解触媒の表面処理法
当社の吉宗航がポールシェラー研究所において行った研究が Small Structures に掲載されました。
余った電力を長期間貯蔵する方法として、水素を用いた蓄電システムが注目されています。水素の製造方法の中でも、アルカリ性アニオン交換膜を用いた水電解による手法は、安価な金属元素を触媒に使えることから有用性が高いと考えられています。しかし実用化に向けては、時間経過に伴い電解液のpHが変化しても活性を維持するような触媒材料の開発が求められていました。本研究では、コバルト系酸素物の水電解触媒の活性を広範囲なpHで維持するための表面処理法について検討しました。その結果、リン酸塩による触媒材料の表面処理が中性環境下での高活性化に有効であることが分かりました。また表面処理の効果は、もともとの触媒材料の表面の状態に左右されることも明らかになりました。この知見は高活性な水電解触媒の材料設計に役立つものと期待されます。
タイトル: The Role of Phosphate Functionalization on the Oxygen Evolution Reaction Activity of Cobalt-based Oxides at Different pH Values
著者: Yoshimune, W., Falqueto, JB., Clark, AH., Yüzbasi, NS., Graule, T., Baster, D., El Kazzi, M., Schmidt, TJ., Fabbri, E.
掲載誌: Small Structures
掲載日: 2023年8月31日
https://doi.org/10.1002/sstr.202300106