修飾分子の構造が酸化グラフェンの反応に及ぼす影響を解明
当社の深谷徳宏らが豊田工業大学と共同で行った研究が Carbon に掲載されました。
薄いシート状のナノ炭素材料である酸化グラフェン(GO)は、分子の修飾により様々な機能を付与できることから、次世代電池や淡水化装置などに用いられる機能性薄膜材料としての応用が期待されています。GOの修飾に関する報告はこれまで多数なされてきましたが、多くは経験的なものであり、反応機構についての分析的な解明が望まれていました。
本研究では、官能基の結合パターンが異なる2種類のジアミノベンゼンスルホン酸(2,4-DBSAと2,5-DBSA)をGOに修飾する実験を行いました。様々な分析手法と量子科学計算を用いて反応機構を調査したところ、DBSA上の官能基同士の近接によるエネルギー状態の不安定性が、GOとの反応性を向上させていることが明らかになりました。これらの結果は、GOの実用化に向けた技術開発に寄与することが期待されます。
タイトル: Effects of Molecular Structure on the Grafting of Diaminobenzene Sulfonic Acid onto Graphene Oxide
著者: Fukaya, N., De Silva, KKH., Yoshimura, M., Hirai, H., Yoshida, H., Tanaka, H.
掲載誌: Carbon
掲載日: 2024年4月11日
https://doi.org/10.1016/j.carbon.2024.119120