自己組織化ナノファイバーの構造安定化と方向制御の手法を開発
当社の溝下倫大らが行った研究がSmallに掲載されました。
分子が自ら集まり組織や構造を形成する「分子自己組織化プロセス」は、ナノスケールの材料を大量かつ省エネルギーで生成できるため長年注目を集めています。しかし自己組織化により作られた分子集合体は機械的に脆いことに加え、位置や方向を制御することが難しいため、実用的なモノづくりに活用することは困難でした。
本研究では、有機溶媒中で形成される自己組織性ナノファイバーの方向制御に成功しました。有機溶媒中で自己組織化したナノファイバーを水中に移し替えることで、ナノファイバーの構造安定性が大幅に向上することを見出しました。これによってナノファイバーを圧搾できるようになり、方向を制御してナノファイバーバンドルを重合することに成功しました。また、これをスライスすることで、光学材料などへの応用が期待される垂直配向ナノ多孔質膜の連続作製も実現しました。分子が集まってできたナノ構造体の方向を制御して数cmスケールで扱うことを可能にした本成果は、ナノ構造をもつ機能材料を製造するための革新的手法の創出につながる可能性があります。
タイトル: Self-Assembled Molecular Fibers Aligned by Compression in Water
著者: Mizoshita, N., Yamada, Y., Masuoka, Y.
掲載誌: Small
掲載日: 2024年4月29日
https://doi.org/10.1002/smll.202402570