燃料電池の性能向上に向けた材料の撥水性評価手法を提案
当社の吉宗航らが行った研究が ACS Applied Materials & Interfacesに掲載されました。
水素ガスと空気中の酸素を反応させて電力を得る燃料電池は、副産物として生成された水が電極内部に溜まると発電効率が下がることが知られています。燃料電池の材料として使用されるカーボンペーパーには、その内部に生成水が溜まることを防ぐために撥水材を塗布することが一般的です。しかし、撥水材の塗布量が多すぎても導電性が低下するため、塗布量を最適化するための撥水性評価技術が必要とされていました。
本研究では、カーボンペーパー内部の撥水性を電気化学と放射光X線で評価する手法を提案しました。従来の撥水性評価は、カーボンペーパー表面に滴下した水滴の形状を観察するものであり、カーボンペーパー内部の撥水性を評価することはできませんでした。提案手法により、塗布量が少ない場合には、カーボンペーパー表面は撥水性を示すものの、内部における撥水性が付与されていないことを明らかにしました。本手法は、撥水材剤塗布量の最適化を検討する過程で、燃料電池の開発と生産の効率化に貢献することが期待されます。
タイトル: Comprehensive Analysis of Wettability in Waterproofed Gas Diffusion Layers for Polymer Electrolyte Fuel Cells
著者: Yoshimune, W., Kato, A., Yamaguchi, S., Hibi, S., Kato, S.
掲載誌: ACS Applied Materials & Interfaces
掲載日: July 4, 2024
https://doi.org/10.1021/acsami.4c07867