リサイクル時の廃棄プラスチック活用を最大化する新材混合比の推定手法を開発
当社の井上良徳らが行った研究が Resources, Conservation & Recycling に掲載されました。
環境負荷の低減や循環型社会の実現に向けて、プラスチック廃棄物のリサイクルが社会課題となっています。現在は、廃棄プラを原料として再生プラを作り出す「マテリアルリサイクル」が主要な方法ですが、経年劣化や不純物の混入などで 廃棄プラの品質が低下している場合、再生プラの機械特性が低下して利用先が制限されることがあります。このため、廃棄プラのリサイクル時に新材を混合することで、再生プラの機械特性を向上させることが一般的です。しかし、適切な新材混合量を決める方法は提案されておらず、実験的な試行錯誤や必要以上の新材投入を強いられる傾向にありました。
本研究では、新材混合量の推定に、複数種類の高分子を混ぜ合わせて一つの材料とする 「高分子ブレンド」の機械特性予測で提案された計算モデルを応用する手法を開発しました。この手法によって、再生プラの機械特性を維持できる最小限の新材混合量を見積もることで、廃棄プラを最大限活用できます。本手法は廃棄プラの利用シーンだけでなく、プラスチックの製造から廃棄までの全過程における環境負荷を評価する ライフサイクルアセスメント(LCA)においても、新材の混合を想定した評価を可能にし、適切なプラスチックリサイクルの実現に貢献することが期待されます。
タイトル: Estimation Method to Achieve Desired Mechanical Properties with Minimum Virgin Polymer in Plastics Recycling
著者: Inoue, Y., Okamoto, H.
掲載誌: Resources, Conservation and Recycling
掲載日: 2024年8月24日
https://doi.org/10.1016/j.resconrec.2024.107856