生物のように歩行・登攀するソフトロボットをトポロジー最適化で自動設計
当社の小林広輝らがジョージア工科大学、Toyota Research Institute of North America (TRINA)と共同で行った研究が Science Advances に掲載されました。本研究はトヨタ自動車株式会社未来創生センターの協力を得て実施されました。
ゴムのような柔らかい素材でできたソフトロボットは、人との親和性や未知の環境への適応性の高さから注目を集めています。硬いパーツでできたロボットに比べ、全体が大きく変形するソフトロボットは挙動の予測が難しく、その設計には多くの試行錯誤が必要でした。
本研究では、数理的にモノの形を設計する手法である「トポロジー最適化」によって、空気圧駆動ソフトロボットを自動的に設計する手法を提案しました。この手法では、膨張と収縮を繰り返すことで地面を歩いたり壁を上ったりするという複雑な物理現象を正確にモデル化し、解の探索手法の一つである 勾配法をベースとした効率的な最適化手法を適用します。計算を繰り返すことで、単純な初期形状から徐々に複雑な腕や脚のような構造が現れ、生物のように歩行・登攀するソフトロボットを設計できることを明らかにしました。さらに、設計されたロボットを3Dプリンターで試作し、実際に機能することも示しました。この成果は、歩行や登攀といった目的を与えるだけでソフトロボットを自動的に作り出せる可能性を示しており、将来のソフトロボット開発への貢献が期待されます。
タイトル: Computational Synthesis of Locomotive Soft Robots by Topology Optimization
著者: Kobayashi, H., Gholami, F., Montgomery, SM., Tanaka, M., Yue, L., Yuhn, C., Sato, Y., Kawamoto, A., Qi, HJ., Nomura, T.
掲載誌: Science Advances
掲載日: 2024年7月24日
https://doi.org/10.1126/sciadv.adn6129