わずか2種類の匂い検査で脳の萎縮推定精度を向上できる可能性を示唆
当社の佐藤守一らが東北大学と共同で行った研究が Scientific Reports に掲載されました。
高齢化が進む社会において、認知症の早期発見は重要な課題となっています。一般に、脳の萎縮を伴う認知症では、脳が萎縮してから認知機能が低下するまでにタイムラグがあることが知られています。そのため、認知機能検査だけで脳の萎縮状況を把握することは難しく、早期発見の妨げとなっていました。
本研究では、約1500人の嗅覚、認知機能、脳MRI*1検査等のデータを用いて、記憶に関する脳領域の萎縮推定精度を向上させる方法を検討しました。その結果、わずか2種類の匂いを用いた嗅覚検査を認知機能検査に追加することで、特に65歳以上の高齢者に対して、海馬および扁桃体の灰白質の萎縮推定精度が向上する可能性が示唆されました。この結果は、簡便な検査による認知機能障害の早期検出技術の確立に貢献することが期待されます。
本研究は、東北大学東北メディカル・メガバンク機構によるコホート調査に、当社が開発した3段階の臭気強度による嗅覚検査を追加実施して収集したデータを用いました。
*1:Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像法)
【関連情報】
https://www.megabank.tohoku.ac.jp/news/59011
タイトル: Association of Olfactory and Cognitive Function Test Scores with Hippocampal and Amygdalar Grey Matter Volume: a Cross-sectional Study
著者: Sato, S., Imaeda, T., Mugikura, S., Mori, N., Takanashi, M., Hayakawa, K., Saito, T., Taira, M., Narita, A., Kogure, M., Chiba, I., Hatanaka, R., Nakaya, K., Kanno, I., Ishiwata, R., Nakamura, T., Motoike, IN., Nakaya, N., Koshiba, S., Kinoshita, K., Kuriyama, S., Ogishima, S., Nagami, F., Fuse, N., Hozawa, A.
掲載誌: Scientific Reports
掲載日: 2024年8月19日
https://doi.org/10.1038/s41598-024-69726-4